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成功する周年企画・ツール制作事例集
「節目を祝う」から、「未来を動かす」周年ツールへ。
実際の制作事例とともに、効果的な周年企画・ツール活用法をわかりやすく解説します。
周年企画の基本と成功の考え方
企業にとって“周年”とは、単に節目を祝う記念日ではありません。それは、これまでの歩みを振り返り、未来への意志を共有するための重要な転換点です。
成功する周年企画の背景には、感情的な「お祝い」だけでなく、経営戦略・ブランド・組織文化を有機的に結びつける“仕組み”が存在します。
社員が自社の存在意義を再確認し、顧客がブランドへの信頼を深め、社会に新たな価値を発信する。このように周年を“未来をつくる起点”として設計できるかどうかが、プロジェクトの成果を大きく左右します。
そして、その「成功の仕組み」を支えるのが、企画設計における3つの視点「社内・顧客・社会」です。周年の本質的な価値を引き出すためには、この三者それぞれへの丁寧なアプローチ設計が不可欠です。
次に、その3つの視点から周年企画を見つめ直していきます。

社内:理念を再認識し、誇りと共感を育てる
周年は、社員一人ひとりが「なぜこの会社で働くのか」を再確認する絶好の機会です。経営理念や創業者の想い、これまでの挑戦の積み重ねを共有することで、組織に共通の物語が生まれます。
ただの“振り返り”ではなく、自分たちが未来の一部を担っているという誇りと共感を育むこと。それこそが、社内における周年企画の最大の意義なのです。
この内発的なモチベーションが、次の成長ステージへと会社を押し上げます。
顧客:感謝を形にし、信頼を深める
顧客にとって企業の周年は、「信頼に裏打ちされた時間の証明」です。
節目の年を迎えられたことは、顧客との関係が続いてきた結果であり、そのこと自体が最大のメッセージになります。
周年を機に感謝を伝えるキャンペーンや、ブランドストーリーを再構築した発信などを行うことで、顧客は「この企業と歩んできて良かった」と感じ、さらに深い絆が生まれます。周年は、取引関係を超えた“信頼関係”を再構築する絶好のタイミングなのです。
社会:企業の存在意義を示し、共感を広げる
周年は社会に向けて、企業がどんな使命を持ち、どんな未来を描こうとしているかを語る機会でもあります。単なる企業の節目ではなく、社会との関係性を再定義する場と捉えることで、ブランドの価値は大きく広がります。
地域への貢献、業界への挑戦、環境・人材への取り組みなど、企業が社会にどう貢献してきたか、そしてこれから何を目指すのかを丁寧に発信する。その姿勢こそが、企業の信頼と共感を呼び起こし、次の100年へと続くブランドの礎を築きます。
成功する周年企画設計 4つの重要要素

周年企画を成功に導くためには、「お祝い」を超えた戦略的な設計力が欠かせません。単に記念イベントを実施するだけではなく、理念・関係性・未来の方向性を一貫して伝える仕組みとして構築することが重要です。
そのためのカギを握るのが、「コンセプト設計/ステークホルダー設計/スケジュール戦略/社内外広報の連動」の4つの要素です。
これらを有機的に組み合わせることで、周年は一過性ではなく、企業価値を高める成長の節目へと進化します。
コンセプト設計|周年の“意味”を言語化し、未来を描く指針をつくる
周年企画の出発点は、「何のために周年を行うのか」という目的の明確化です。
「NEXT100」「感謝と挑戦」「RE:START」などのテーマは、その企業の歴史や文化、そしてこれからの方向性を象徴するメッセージとなります。
重要なのは、過去を称えるだけでなく、未来に向けた意志を明確にすること。
理念やブランドビジョンを中心に据え、社員・顧客・社会の三者が共感できる軸を定めることで、周年は“節目”から“未来を描く羅針盤”へと変わります。
ステークホルダー設計|関わるすべての人を巻き込み、共感を拡げる
周年は経営陣や広報担当だけのプロジェクトではありません。
社員、顧客、パートナーなど、関わる人すべてをどう巻き込むかが成功のカギを握ります。
社員には参加型企画や社内発信を通じて主体的な関与を促し、顧客や地域社会には共創イベントやキャンペーンで共感の輪を広げる。
それぞれの立場に「自分ごと」としての物語を感じてもらう設計が、周年を“企業のプロジェクト”から“社会に広がる体験”へと変えていきます。
スケジュール戦略|1年前から始まる、戦略的な時間設計
成功する周年企画の多くは、少なくとも1年前から準備が始まっています。
「調査→企画→制作→発信→アーカイブ」という流れを体系的に計画し、それぞれの段階で目的と成果を明確にしておくことが重要です。
早期の段階から関係者の認識をそろえ、制作物やイベントを段階的に進めることで、慌ただしい“記念行事”ではなく、組織変革を促すプロジェクトとして機能します。
周年の1年は、過去を整え、未来を築くための1年でもあるのです。
社内外広報の連動|メッセージを統一し、ブランドの信頼を高める
周年は、企業が自らの存在意義を社内外に再発信する好機です。
社内向けには理念やビジョンを浸透させ、社外向けにはブランドの信頼と価値を高める。この2つの広報を一貫したストーリーで連動させることが、周年成功のカギを握ります。
周年特設サイトや周年動画、周年記念誌、SNSなどを統合的に活用し、「伝える」だけでなく「共感を生む」コミュニケーションを設計する。
そうすることで周年は、ブランドの再定義と企業文化の再構築を同時に実現する強力な機会となります。
周年ブランディング事例|節目を“未来への起点”に変える

周年は、企業がこれまでの歩みを振り返り、未来への方向性を描く大切な節目です。
理念やブランド価値を再定義し、次の成長へとつなげる“周年ブランディング”は、近年多くの企業で注目を集めています。
ここでは、節目を未来への起点に変えた実例を紹介します。
創立50周年を“次の挑戦”へつなぐ、GO NEXT 50 PROJECT!|鎌ケ谷巧業株式会社
鎌ケ谷巧業株式会社の創立50周年を機に、Paddle Design Companyが提案した「GO NEXT50 PROJECT!」は、歴史を祝うだけでなく、次の50年に向けた意志を「まっすぐ、強く。」というブランドメッセージに結晶化。全社員調査から導いたタグライン、現場の臨場感を捉えた映像、50周年ロゴ、記念誌、ウェブサイト、空間デザインに至るまで、ワンストップで展開。ものづくり企業の誇りと未来志向を社内外に鮮明に打ち出した、周年ブランディングの好例です。
創業100周年を機に挑む、“つなぐ”を軸としたブランド再構築|シモダL&C株式会社
創業100周年を迎えたシモダL&C株式会社は、長年培ってきた信頼と技術を次の時代へとつなぐリブランディングを実施。3年にわたる周年プロジェクトでは、「つなぎ、つくり、こたえる。」をスローガンに、ミッション策定・社名変更・ロゴ刷新・周年映像・記念サイト・式典演出までを一貫してプロデュース。社員や顧客を巻き込みながら、企業の原点と未来を再定義し、100年企業としての新たなスタートを鮮やかに印象づけました。
「周年ロゴ」制作事例|節目を象徴し、未来を描くシンボルデザイン

創立50周年を象徴する、“鳩”モチーフのシンボルデザイン|ハトのマークの引越センター
ハトのマークの引越しセンターの創立50周年を記念し、節目を象徴する周年ロゴを制作。同協会の象徴である「鳩」をモチーフに“50”を融合させ、ブランドカラーのレッドで統一しました。親しみやすさと信頼感を兼ね備えたデザインで、ブランドの歴史と50年の歩みを印象的に表現しました。
成長と変化を象徴する、創立70周年のシンボルデザイン|ポーライト株式会社
粉末冶金技術を軸に小型モータ用軸受や機械部品を手がけるポーライト株式会社の、創立70周年記念ロゴを制作。「成長」「変化」「チャンス」をコンセプトに、未来へと伸びゆく架け橋をデザインの中心に配置。数字の“0”を光のモチーフで表現し、希望と可能性を感じさせるビジュアルに仕上げました。
ブランド資産を継承し、未来志向を描いた創立30周年記念ロゴ|ELNET
創立30周年を記念して開発された周年ロゴは、企業のCI/VIデザインを踏襲しながら、節目を直感的に伝える数字を融合。ブランドの象徴である“手紙”のモチーフをロゴの先端に配置し、これまで培ってきた信頼とともに、未来へと進化し続ける姿勢を表現しています。企業の歩みと次の挑戦をつなぐ、記念のシンボルデザインです。
「周年サイト」制作事例|歴史を語り、未来を描くWebブランディング

周年サイトは、企業の歩みや未来への意思を世界中に発信する、最も重要な周年コミュニケーションツールです。これまでの歴史と、これからの挑戦をつなぐストーリーデザインによって、企業の魅力や理念を新たな形で伝えることができます。
ここでは、それぞれの節目を“未来への起点”に変えた周年サイトの実例をご紹介します。
創立55周年、歩みの先に見える未来への挑戦|鎌ケ谷巧業株式会社
鎌ケ谷巧業の創立55周年を記念して制作した特設サイトでは、「これまで」と「これから」をつなぐメッセージを発信。50周年以降の5年間の歩みをヒストリーとしてまとめ、同社の成長力を表現しました。千葉本社・新潟白根支店・新潟白根工場の3拠点を取材し、社員と設備の写真を中心に構成。現場の活気と企業の今を伝えるサイトです。
設立60周年、安心と安全を未来へつなぐ新たな挑戦|特別民間法人 高圧ガス保安協会
周年ブランディングにあたり、これまで築いた信頼を礎に、新たな挑戦への期待を感じさせる周年サイトを制作。「国民の暮らしを守る安心・安全のサービス」という理念を軸に、水素事業への取り組みを通じた未来への進化を表現しました。誠実さとクリーンな印象を重視したデザインで、協会のしなやかな変革を印象づけています。
創業70周年、時代を超えて受け継がれる挑戦の物語|新光ネームプレート株式会社
創業70周年を迎えた新光ネームプレートの歩みを、時代ごとに振り返る周年記念サイトを制作。初代から三代目まで、時代の変化に応じて挑戦を重ねてきた事業の軌跡を端的にまとめ、メッセージとして再構築しました。サイト後半では、企業と事業を支えてきたキーマンのインタビューを掲載し、ブランドヒストリーに深みと人間味を加えた構成としています。
「周年動画」制作事例|節目を未来へつなぐ、ブランドストーリー映像

周年動画は、企業の節目を振り返り、未来への発信として映し出すブランディングツールです。歴史や想い、挑戦の軌跡を映像で描くことで、社員や関係者の共感を生み、ブランドの価値を再確認させると共に、未来への期待を醸成することができます。
ここでは、企業の歩みと未来への意志を力強く表現した周年動画の実例をご紹介します。
直販事業部50年の歩みを未来へつなぐ|株式会社ヤクルト本社
直販事業部50周年を記念し、式典のオープニングで上映される周年動画を制作。1974年の事業部発足以来、オレンジジュースでの市場開拓を皮切りに、タフマンをはじめ多彩な商品を展開。直販実売1000億円を達成するまでの成長や、体制整備・提携による進化を描き、変革と挑戦を重ねてきた50年の歩みを未来への原動力として表現しました。
「まっすぐ、強く。」未来へ続く技と精神を描く|鎌ケ谷巧業株式会社
創立50周年を記念して制作したブランディング動画は、「揺るぎないプロフェッショナル集団であり続けたい」という鎌ケ谷巧業の姿勢を核に、「まっすぐ、強く。」をキーワードとして開発しました。西暦2166年の未来人が鎌ケ谷巧業の技と精神に触れる物語を通じ、時代を超えて変わらない“巧の価値”を力強く描いています。
100年の歩みと未来への展望を描く|キョーラク株式会社
創立100周年を記念して制作した会社案内動画。全社員と関係者に、キョーラク株式会社が社会に提供してきた価値と想いを再認識してもらうことを目的に構成しました。「歴史」「事業内容」「組織」の3部構成で、技術力や品質力、グローバル展開を紹介。動きのあるグラフィックで飽きさせず、100年の歩みと未来への展望を力強く描いています。
「周年記念誌」制作事例|企業の節目を物語る、未来へつなぐブックデザイン

周年記念誌は、企業の節目を形に残し、未来へ想いをつなぐストーリーブックです。創業の原点や成長の軌跡、社員や地域との絆を一冊にまとめることで、組織のDNAや価値観を次世代へ継承します。
ここでは、100年・70年・40年・30年といった節目を迎えた企業の、想いと歩みを丁寧に紡いだ周年記念誌の実例をご紹介します。
「周年グッズ」制作事例|想いを“かたち”にする、記念デザインの力

周年グッズは、企業の節目に込めた感謝や決意を“かたち”にして伝える大切なツールです。社員や顧客に贈るアイテムには、ブランドの個性や理念、これからの歩みへのメッセージが宿ります。
ここでは、香り・バッジ・マグカップといった多彩なアプローチで、企業の想いを日常に届けた周年グッズの実例をご紹介します。
10周年の感謝と未来への想いを香りで届ける|株式会社東京ミライズ
設立10周年を迎えた東京ミライズの節目に、お客様への感謝と次の10年への決意を込めた周年ギフトを制作。「人生に寄り添い、共に未来を考える」という理念から、“親密さ”を象徴する「香り」をテーマにオリジナルのアロマディフューザーを開発しました。感謝のメッセージを添えたパンフレットを同梱し、特別感のある記念ギフトボックスに仕上げています。
創業70周年を迎えたポーライトでは、節目を全社員で共有できる記念バッジを制作。スーツやユニフォームにも着けられるデザインとし、現場で働くスタッフへの配慮から、安全ピンタイプも併せて開発しました。70年の歴史とものづくりへの誇りを象徴する、シンプルかつ実用的な記念アイテムです。
周年記念誌の発行に合わせ、周年ロゴをデザインしたオリジナルマグカップを制作。ロゴの入った2種類のマグカップは、親しみやすくかわいらしいデザインに仕上がりました。社員の日常に寄り添いながら、節目をともに祝う記念アイテムとして展開しました。
まとめ|周年で描く、企業の未来。
周年は、企業が歩んできた時間を祝うだけでなく、未来への意志を形にする絶好の機会です。パドルデザインカンパニーでは、コンセプト設計からツール制作まで一貫したデザインで、企業の理念や物語を“未来をつくる力”へと変えてきました。
周年を単なる記念ではなく、ブランドを進化させるプロジェクトとして成功へ導く実例がここにあります。
ブランディングチーム
パドルデザインカンパニーには、プロジェクト全体を統括するプロデューサーやブランディングディレクターをはじめ、コピーライター、エディトリアルライター、アートディレクター、ブランドデザイナー、Webデザイナー、映像ディレクターなどが在籍し、プロジェクト毎に最適なチーム編成を行うことでブランドを最適解へと導いていきます。
記事制作/プロデューサー
ご相談や課題を受け、実施プランの策定やプロジェクトの大まかなスケジュールなどを策定します。また、プロジェクトのゴール設定やマーケティング環境分析、市場分析などを行い、市場で勝ち抜くブランド戦略提案などを行います。
Producer
CEO 豊田 善治
東京のブランディング会社 パドルデザインカンパニー

パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。



































