成功する周年動画の考え方と作り方。

目的設計から構成・撮影・編集、納品後活用まで。周年動画の成功手順を解説します。

Introduction

周年動画とは?まず押さえておきたい基本知識

周年動画は、企業の節目となるタイミングで、これまでの歩みや大切にしてきた価値観、そしてこれから目指す未来を映像で伝えるためのコミュニケーションツールです。
社内に対しては、社員の誇りや一体感を育み、組織としての結束を高める役割を担います。一方社外に向けては、企業の信頼性やブランドイメージを印象づける重要な発信手段にもなります。
こうした効果を最大限に引き出すためには、「周年動画ならではの目的」を正しく理解することが大切です。会社紹介動画や採用動画と混同したまま制作を進めてしまうと、伝えたいメッセージがぼやけ、十分な成果につながらないこともあります。
本章では、周年動画の基本的な考え方を整理しながら、制作前に押さえておきたいポイントをわかりやすく解説していきます。

【基礎知識1】周年動画(アニバーサリームービー)の定義

周年動画とは、企業や団体が節目の年を迎えるにあたり、これまでの歩みや大切にしてきた価値観、そして今後の方向性を映像として可視化するコミュニケーションツールです。
単に年表や実績を並べた映像ではなく、「なぜこの会社は続いてきたのか」「どんな想いが受け継がれてきたのか」をストーリーとして伝える点が、周年動画の大きな特徴といえます。
社内に向けては、社員一人ひとりが自社への誇りを再認識し、組織としての一体感を高める役割を果たします。一方、社外に向けては、企業への信頼感やブランド価値を醸成する重要なメッセージとなります。
周年という一過性の機会を、企業の“資産”として残すこと。それが周年動画の本質的な役割です。

【基礎知識2】会社紹介動画・採用動画との違い

会社紹介動画が「現在の企業像を端的に伝えるもの」、採用動画が「未来の仲間に向けたメッセージ」だとすれば、周年動画は「過去・現在・未来を一本の物語としてつなぐ映像」です。
売上や事業内容といった情報説明よりも、意思決定の背景や人の想いに焦点を当てるのが周年動画の特徴だと言えます。目的は情報提供ではなく、企業への“共感”を生み出すこと。
長い時間をかけて積み重ねてきた歴史や価値観を感じさせ、企業の奥行きを伝えられる点が、他の企業動画との決定的な違いと言えるでしょう。

【基礎知識3】周年動画で「必ずやるべきこと」「やらなくていいこと」

周年動画で必ず意識したいのは、「すべてを語ろうとしない」ことです。
重要なのは、「何を一番伝えたいのか」を明確にし、象徴的なエピソードや言葉に絞ること。情報を整理し、焦点を定めることで、短い映像でも強く記憶に残る動画に仕上がります。
一方で、年表を網羅したり、実績をすべて盛り込んだりする必要はありません。情報を詰め込みすぎると、かえってメッセージは薄れてしまうためです。
周年動画は「記録」ではなく「意味づけ」のための映像。取捨選択こそが、映像の説得力と価値を高める最大のポイントです。

【最重要】制作着手前に必ず行うべき3つの準備

周年動画の成否は、撮影や編集のクオリティ以前に、「制作前の準備」でほぼ決まります。その中でも最も注意したいのが、KPI設定です。目的やゴールを曖昧なまま進めてしまうと、構成が定まらず修正が増え、結果として“何を伝えたいのか分からない映像”になりがちです。
限られた予算と時間の中で、意味のある周年動画をつくるためには、他にも着手前に整理しておくべき重要なポイントがあります。
本章では、制作を始める前に必ず押さえておきたい3つの準備について、実務視点で解説します。

【準備1】制作目的を1つに絞る

周年動画で最も重要なのは、制作目的を「1つ」に絞ることです。
社内向け・社外向けの両方を同時に満たそうとすると、メッセージがぼやけ、結果として誰の心にも強く届かない映像になってしまいます。故に、「誰に、何を伝えたいのか」を一文で言語化し、それをすべての構成判断の軸にすることが大切です。
目的が明確であれば、構成・演出・尺の判断がぶれず、限られた時間でも説得力のある周年動画に仕上げることができます。

【準備2】ゴール設定(成功の定義)

周年動画は「完成すること」自体がゴールではありません。周年イベントでの上映が最大の目的なのか、それともWeb掲載や採用活動など二次利用を前提とするのかにより構成や尺、トーンは大きく変わります。
また、成功の定義をあらかじめ決めておくことで、制作途中の迷いや手戻りを防ぐことができます。どこで、誰に、どう使われる動画なのかを明確にしておくことが、成果につながる周年動画の前提条件です。

【準備3】制作スケジュールを逆算する

周年動画の制作期間は、企画から完成まで一般的に3〜4ヶ月程度が目安です。周年動画は、一般的なPR動画と比べ、取材・撮影・編集・修正と工程が多く、社内確認の時間も想定以上にかかるため、周年イベント当日から逆算してスケジュール組みを行うことが重要です。
特に撮影時期や経営層確認のタイミングは早期に押さえるべきポイント。余裕のある進行が、クオリティと社内満足度の両立につながります。

周年動画の完成度を決める「コンセプト設計」の基本

周年動画の印象や完成度を大きく左右するのが、最初に設定する「コンセプト」です。
どれほど映像のクオリティが高くても、伝える軸が定まっていなければ、メッセージは分散してしまいます。
周年という節目だからこそ、歴史を並べ紹介するのではなく、何を伝え、どんな想いを残したいのかを明確にする。この観点が、周年動画ならではのポイントであり、周年動画制作の本質です。
本章では、周年動画におけるコンセプトの考え方と、実際によく使われる代表的な切り口について解説します。

1.コンセプトの考え方

周年動画のコンセプトは、「◯年の歴史を振り返る」といった事実整理ではなく、「この動画を通して何を伝えたいか」を定めることから始まります。
すべてを盛り込もうとすると焦点がぼやけ、印象に残らない映像になりがちなため、伝えたい価値や姿勢を一つ選び、それを一文で言語化することが「コンセプト策定」です。その一文が企画・構成・演出の判断軸となり、関係者間に共通認識をもたらします。
また明確なコンセプトは、周年動画に説得力を与え、視聴者の共感を生み出します。

2.周年動画に適したコンセプト例

周年動画でよく用いられるコンセプトには、「挑戦の歴史」「人を中心にしたストーリー」「未来への宣言」などがあります。
新規事業や事業転換を重ねてきた企業であれば、挑戦の軌跡を描くことで、変化に向き合ってきた企業姿勢を伝えやすくなります。企業文化や価値観を伝えたい場合は、社員や関係者に焦点を当てた人の物語が効果的です。また、次の節目に向けた意思表明として、今後の方向性やビジョンを語る未来志向のコンセプトも有効です。
自社の状況や目的に合った切り口を選ぶことが、共感を生む周年動画につながります。

周年動画の印象を決めるストーリー・構成設計の基本

周年動画の印象を大きく左右するのが、ストーリーと構成の設計です。
使用する素材以上に、「何を軸に、どの順番で語るか」により、伝わり方は大きく変わります。また、出来事を並べるだけではなく、物語として再構成することで、視聴者の理解と共感を得ることができます。
本章では、周年動画に適した基本構成の考え方と、年表型を避ける工夫、表現手法の使い分けについて解説します。

1.基本構成テンプレート

周年動画は、「導入・中盤・終盤」の三部構成で考えると整理しやすくなります。
導入では創業時の背景や当時の課題を示し、物語の前提を共有します。中盤では転機となった出来事や成長の過程、人の存在に焦点を当て、感情の動きを生み出します。終盤では現在の姿と未来への方向性を提示し、前向きな余韻を残します。
この流れを押さえることで、短時間でも納得感のある構成に仕上がります。

2.年表型にしないための工夫

周年動画で陥りがちなのが、出来事を時系列に並べただけの年表型構成です。
これを避けるには、印象的なエピソードをあえて3つ程度に絞ると効果的です。重要なのは、年数や数字ではなく、「何が起き、どう考え、どう乗り越えたのか」。感情や意思決定の背景に焦点を当てることで、視聴者の共感を引き出すことができます。
すべてを伝えるより、強く残す。その取捨選択が物語の厚みを生み出します。

3.ナレーションとインタビューの使い分け

ナレーションは、時代背景や状況説明など、客観的に整理したい情報訴求に適しています。一方、経営者や社員のインタビューは、想いや判断の背景といった“人の声”を伝える場面で効果を発揮します。どちらかに偏るのではなく、役割を明確にして使い分けることが重要です。
説明はナレーションで補い、感情や本音をインタビューで伝えることで、情報と共感のバランスが取れた周年動画に仕上がります。

周年動画の完成度を左右するシナリオ(台本)設計の基本

周年動画の完成度は、撮影や編集の巧拙以前に、撮影前のシナリオ設計でほぼ決まると言っても過言ではありません。
シナリオは、単なる台本ではなく、「どの情報を、どの順番で、どんな感情とともに届けるか」を定義する設計図。これが曖昧なまま進行すると、現場判断や編集段階で方向性がぶれ、結果として“伝わらない映像”になりがちです。
また、周年動画は、多くの関係者が関わる制作物だからこそ、認識を揃える共通言語としてのシナリオが欠かせません。同じ事実でも、言葉の選び方次第で、誇りにも自己満足にもなり得ます。
本章では、周年動画に適したシナリオの基本構成と、映像を「記録」から「物語」へと昇華させるナレーション設計の考え方を解説します。

1.シナリオ作成の基本構成

周年動画のシナリオ作成では、「映像・音声・テロップ」を必ずセットで設計することが肝要です。
映像では、何が映るのかだけでなく、登場人物の表情や場の空気感、時間の流れまでを具体的に想定します。音声は、ナレーションで語るのか、インタビューに委ねるのかを明確に分け、情報を伝える役割と感情を動かす役割を整理して行きます。
テロップは、情報を補足・整理するための要素であり、音声と同じ内容をなぞるものではありません。視聴者の理解を助けるために、最小限かつ効果的に配置することで、映像と音声の力を引き立てます。
この三要素を事前に整理しておくことで、撮影現場や編集段階での判断軸がぶれず、関係者間でも完成イメージを高い精度で共有できるようになります。

2.周年動画で使いやすいナレーション文例の考え方

周年動画のナレーションで陥りがちなのが、事実を淡々と説明する“報告調”の文章です。「〜しました」「〜です」と時系列に並べるだけでは、どれほど実績があっても、記録映像の域を超えません。
重要なのは、その出来事の背景にあった想いや判断の意味を言葉ににじませることです。なぜその選択をしたのか、どんな困難があったのかを一言添えるだけで、映像に物語性が生まれます。
また、周年動画は過去を振り返るだけのコンテンツではありません。積み重ねてきた歴史を土台に、「これから何を目指すのか」「どんな未来を描いているのか」といった未来志向のメッセージを盛り込むことで、視聴者に前向きな余韻を残す映像になります。
ナレーションは説明ではなく、企業の姿勢や価値観を伝える“声”である。
その意識が、周年動画の印象を大きく左右します。

言葉と表情を引き出す周年動画の撮影準備

周年動画の撮影成否を分けるのは、当日の段取りではなく、撮影前の準備の質です。誰に出演してもらい、何を語ってもらうのか。どんな環境で撮影するのかによって、映像の説得力や伝わり方は大きく変わります。インタビュー設計や過去素材の集め方次第で、物語の深みも左右されます。
本章では、撮影前に押さえるべき準備項目から、インタビュー撮影の進め方、追加素材収集のポイントまで、現場で迷わないための考え方を整理します。

1.撮影前の準備リスト

撮影当日の成果は、事前準備でほぼ決まります。出演者は役職や年次だけで選ぶのではなく、その人ならではの経験や視点を基準に選定することが重要です。
インタビュー質問も事実確認に終始せず、体験や感情が自然に引き出される構成を意識します。ロケーション、服装、小物といった要素も映像の印象を左右するため、企業イメージやコンセプトと整合させて準備することで、統一感のある周年動画に仕上がります。

2.インタビュー撮影のポイント

インタビュー撮影で最も大切なのは、話しやすい空気をつくること。撮影前に雑談を交わし、カメラや現場に慣れてもらうだけでも、表情や言葉の自然さは大きく変わります。
質問は一問一答で終わらせず、相づちや深掘りを交えながら会話として進めることがポイント。整った回答よりも、その人らしい言葉や間こそが、視聴者の共感を生む要素になります。現場での進行が映像の温度感を左右します。

3.追加素材の集め方

周年動画において、過去写真や映像といった追加素材は物語に厚みを与える重要な要素です。制作初期の段階で社内に協力を呼びかけ、年代や内容ごとに整理して集めておくことが成功のポイントになります。写真や映像だけでなく、ロゴや資料、グラフィック素材も使用可否や解像度を事前に確認しておくと安心です。
素材収集を後回しにすると進行が滞りやすいため、計画的な準備がスムーズな制作につながります。

感情と余韻を設計する周年動画の編集術

周年動画の印象を最終的に決定づけるのが、編集と演出の設計です。撮影した素材をどの順番でつなぎ、どこに間をつくり、どんな余韻を残すかによって、同じ内容でも伝わり方は大きく変わります。周年動画では情報を詰め込むよりも、感情の流れやテンポを意識した編集が重要です。
本章では、周年動画に適した編集の基本的な考え方から、音楽・テロップの使い方、ブランドイメージを守るための注意点までを整理して解説します。

1.周年動画に適した映像編集の考え方

周年動画の編集で重視すべきなのは、情報量よりもテンポと余韻のバランスです。
一般的な動画の尺は3〜7分程度が多く、集中力を保ちながら物語を伝えやすい長さとされています。すべての出来事を均等に並べるのではなく、伝えたいメッセージに直結する場面を「見せ場」として意識的に強調することがポイントです。緩急をつけた編集によって、視聴後に残る印象や感情の深さが大きく変わります。

2.音楽・テロップ・演出の選び方

音楽は、映像の感情を導く重要な演出要素です。盛り上げたい場面と、静かに伝えたい場面でBGMを使い分けることで、ストーリーの流れが自然になります。テロップは説明の補足に徹し、ナレーションやインタビューと同じ内容を繰り返さないことが基本です。演出を盛り込みすぎず、言葉や表情そのものを引き立てる意識を持つことで、周年動画にふさわしい品位と説得力が保たれます。

3.ブランドイメージを壊さないための注意点

周年動画では、映像の印象そのものが企業のブランドイメージに直結します。色味やフォントは既存のブランドガイドラインに沿って統一し、ロゴのサイズや表示タイミングにも配慮することが基本です。流行を意識しすぎた演出や過度な加工は、一時的なインパクトはあっても、長期的には信頼感を損なう恐れがあります。式典後も使い続けられる映像を意識した判断が、周年動画の価値を高めます。

周年動画を完成させる前の最終チェックリスト

周年動画は、完成直前になって「本当にこの内容で伝わるのか」と不安が生じやすい制作物です。映像としての完成度だけで判断すると、当初の目的からズレていたり、社内向けの自己満足に留まってしまうことも少なくありません。
以下で紹介する完成前チェックリストは、企画段階で定めた目的やメッセージに立ち返り、第三者の視点で最終確認を行うための指針です。社内確認や公開前レビューの共通基準として活用することで、「伝えたいことが正しく伝わる」周年動画へと仕上げることができます。

1.目的とズレていないか

□企画時に定めた「目的(1つ)」を一文で言える状態になっている
□冒頭〜ラストまで、その目的に沿った情報・感情の流れになっている
□「入れたいから入れた」要素(実績羅列/部署紹介/長い沿革)が混ざっていない
□伝えたいメッセージが複数に分散していない(例:採用・営業・社内表彰が同居していない)
□ターゲット(社内/社外、顧客/求職者など)が途中で入れ替わっていない
□見せ場(最も印象に残してほしいシーン)が、目的と直結している
□尺の配分が適切(重要部分が短すぎ/どうでもいい説明が長すぎになっていない)
□会社の強みが「事実」だけでなく「意味(なぜそれを大事にするか)」として伝わっている
□“周年らしさ”が出ている(過去→現在→未来のつながり、節目の意義が感じられる)
□視聴後に期待する行動(共感/信頼/応募意欲/社内の一体感など)につながる設計になっている

2.内輪ノリになっていないか

□社内の人間関係・身内ネタ・略語が前提になっていない
□“わかる人だけ笑える”演出(過度なバラエティ、身内いじり、内輪受けのBGM)が入っていない
□特定人物への過度な忖度/内輪表彰ムードが強すぎない
□企業の価値や文化が「自慢」ではなく「根拠のある誇り」として伝わっている
□社外視聴で誤解される表現(過度な自己評価、競合を下げる言い回し)がない
□社内の“当たり前”が補足されている(事業内容・用語・サービスの位置づけなど)
□社内イベント映像や集合写真が多すぎて、視聴者が置いてけぼりになっていない
□企業としての「社会的な文脈」(顧客価値、課題解決、提供価値)が必ず入っている
□誇張表現がない(No.1表現、実績の見せ方、数字の根拠が曖昧になっていない)
□社外公開を想定したコンプラチェックができている(機密、契約先、顔出し許諾など)

3.初見の人でも理解できるか

□冒頭30秒で「どんな会社で、何をしていて、何を伝える動画か」が掴める
□会社名・事業領域・提供価値が、映像と音声のどちらかで明確に説明されている
□時系列や話の転換点が分かる(年号、章立て、テロップ、映像の切り替えが機能している)
□専門用語・略語は噛み砕くか、テロップで補足できている
□テロップの文字量・表示時間が適切(読めない/多すぎる/小さすぎるがない)
□ナレーションやインタビューの音量が安定し、聞き取れる(BGMに負けていない)
□インタビューが“前提知識ありき”になっていない(主語抜け、固有名詞だらけを避ける)
□重要情報が一度だけで終わっていない(必要に応じて別表現で補強されている)
□視聴環境の差を考慮している(スマホ視聴でも読める/聞こえる)
□社外向けの場合、最後まで見なくても最低限の理解が得られる構造になっている

4.未来のメッセージが伝わるか

□ラストで「これから何を目指すか」が明確に言語化されている
□未来の言葉が抽象的すぎない(“挑戦します”だけでなく、方向性や意志が見える)
□過去の積み重ねから未来につながる因果がある(唐突に未来だけ語っていない)
□経営者メッセージが“理念の繰り返し”で終わらず、温度感がある
□社員の言葉が未来につながっている(現場視点の期待、次世代へのバトンがある)
□視聴者に対して開かれたメッセージになっている(「一緒に」「支えてほしい」などの余白)
□次のアクション導線がある(Web公開先、採用ページ、式典の位置づけなど目的に応じて)
□エンディングの余韻が未来志向(映像・BGM・言葉が前向きに締まる)
□“綺麗に締めた感”だけでなく、会社の意思が残るラストになっている
□二次利用を想定する場合、未来メッセージが他用途でも使える汎用性を持っている

納品後を見据えた周年動画の仕上げ方

周年動画は、納品されて完了ではありません。
完成後に「どこで、誰に、どう使うか」を想定して仕上げ、それを活用していくことが大切です。式典上映、Web掲載、SNSでの短尺展開など、用途ごとに求められる条件は異なります。
本章では、フル尺と短尺の作り分け、無音視聴にも対応する設計、用途別の書き出し設定など、納品後も継続的に活用できる周年動画に仕上げるための考え方を解説します。

1.フル尺と短尺の作り分け

周年動画は、一本の完成形で終わらせず、用途に応じて使い分けることで活用の幅が広がります。式典や社内向けのフル尺に加え、WebサイトやSNSで活用できる短尺版を用意しておくのが理想です。
短尺は単なる切り抜きではなく、冒頭数秒で要点が伝わるよう再構成することが重要なポイントです。あらかじめ複数尺展開を前提に編集しておくことで、納品後も無駄なく活かせる周年動画に仕上がります。

2.字幕・無音でも伝わる設計

WebやSNSでは、音声をオフにしたまま視聴されるケースが少なくありません。そのため、字幕やテロップだけでも内容が理解できる設計が重要です。
ナレーションをそのまま字幕化するだけでなく、要点を整理した短い言葉で伝える工夫が効果的です。また、文字量や表示タイミングにも配慮し、映像の邪魔をしないことが大切です。無音でもメッセージが届く設計が、視聴機会と活用範囲を大きく広げます。

3.Web・イベント上映用の書き出し設定

周年動画は、使用シーンごとに最適な書き出し設定が異なります。
Web用では再生環境やファイル容量を考慮した形式が求められ、イベント上映用では高解像度・高音質が重要になります。縦横比や解像度、音量基準を用途別に整理しておくことで、再書き出しの手間やトラブルを防ぐことができます。
納品時点で用途別データを揃えておくことが、スムーズな運用と長期的な活用につながります。

まとめ:伝わる周年動画は「準備・設計・未来」で決まる

周年動画で失敗しないためには、撮影や編集の前に「準備と設計」を固めることが最重要ポイントです。目的とゴールを明確にし、コンセプトを一文で言語化したうえで、伝える順番=ストーリーを組み立ててから撮影に入る。これらの手順を適切に行うことで、手戻りを減らし説得力を高めることができます。
過去の出来事を並べるだけの周年動画に終わらせず、積み重ねの意味を踏まえて「これからどうありたいか」を描くことが、心に残る周年動画につながります。

ブランディングチーム

パドルデザインカンパニーには、プロジェクト全体を統括するプロデューサーやブランディングディレクターをはじめ、コピーライター、エディトリアルライター、アートディレクター、ブランドデザイナー、Webデザイナー、映像ディレクターなどが在籍し、プロジェクト毎に最適なチーム編成を行うことでブランドを最適解へと導いていきます。

記事制作/プロデューサー

ご相談や課題を受け、実施プランの策定やプロジェクトの大まかなスケジュールなどを策定します。また、プロジェクトのゴール設定やマーケティング環境分析、市場分析などを行い、市場で勝ち抜くブランド戦略提案などを行います。

Producer
CEO 豊田 善治

東京のブランディング会社 パドルデザインカンパニー

パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。