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新卒採用を成功に導く採用ブランディングとは?
採用ブランディングが新卒採用を成功に導く
人材獲得競争時代における戦略的アプローチを伝授します。
新卒採用における採用ブランディングの重要性
少子化と人材の価値観多様化が進む中、企業にとって新卒採用はますます難易度の高いミッションになっています。特に、知名度が高くない中小企業や不人気業界の企業にとっては、優秀な人材との接点を作ること自体が大きな課題です。こうした状況で注目されているのが、「採用ブランディング」による採用力の強化です。
単なる求人情報の発信ではなく、企業が“なぜ働く価値があるのか”を構造的かつ継続的に発信することで、学生の共感や信頼を獲得しやすくなります。本記事では、新卒採用を成功に導く採用ブランディング戦略について、実例を交えながら解説します。

1.新卒採用における採用ブランディングの基礎と目的
◉採用ブランディングの定義と効果
採用ブランディングとは、自社の企業文化・価値観・働き方などを戦略的に発信し、求職者から「この会社で働きたい」と思ってもらうための採用活動全般の総称です。リクルートキャリアの調査では、「企業の理念に共感できるか」が就職先選びの上位理由として挙げられており、“どのような会社か”という印象が決定的な差を生むとの調査結果が報告されています。
◉魅力を立体的に伝えるのが採用ブランディング
新卒採用では、学生が企業を「初めて知る」ことが多いため、企業の第一印象がとても重要となります。ナビサイト上の情報スペースだけでは十分に伝えきれない魅力を、SNSや採用特設サイト、動画、インターンシップなどを通じて“立体的”に伝える取り組みが必要不可欠となっています。
2.自社の魅力を可視化する新卒採用コンテンツを発信する
◉採用動画や社員インタビューの活用
求職者に自社の魅力を伝えるには、「人」を通じた採用ブランディングが高い効果をもたらしています。たとえば、キユーピーは自社の製造現場や社員のリアルな仕事風景を動画で紹介し、若手社員の声を通じて“働く意味”を伝えています。こうしたコンテンツは、企業文化や雰囲気を疑似体験できる手段として、学生の共感を得やすくなります。
◉オウンドメディアやSNSでの情報発信
新卒採用で重要なのは、短期的な情報提供ではなく、継続的な関係構築です。リクルートが運営する「HELPMAN JAPAN」では、介護業界における仕事の魅力を長期的に発信することで、業界全体のイメージ改善と人材獲得につなげています。このように、自社サイトやSNSを通じて「ありのまま」を届ける施策がブランディングの核となります。
3.新卒採用のターゲット学生のインサイトを捉える
◉「企業理念」「社会貢献」が求められる時代
就職みらい研究所の調査によれば、近年の学生は「安定性」や「給与」だけでなく、企業の存在意義や社会的な貢献度を重視する傾向が強まっています。特にZ世代の学生は、「自分が社会に対して意味のある仕事をしているか」に強い関心を持っています。
◉企業の姿勢を伝える好事例
オムロンは、「よりよい社会づくりへの貢献」という理念のもと、健康支援や社会課題解決に取り組んでいます。採用広報でも、理念に共感した社員のインタビューを前面に出し、「ただのメーカーではない」という独自の立ち位置を打ち出すことで、技術職志望の学生の応募を増加させています。
4.外部パートナーとの連携で採用ブランディングを強化する
◉制作会社・広告代理店の活用
採用ブランディングは、社内リソースだけではカバーしきれない部分が多く存在します。動画制作、採用サイト構築、SNS運用などは専門の制作会社と連携することで、より完成度の高いアウトプットが期待できます。
◉補助金・助成金の活用も視野に
採用ブランディングには一定のコストがかかるため、厚生労働省の「人材開発支援助成金」や自治体の「中小企業支援補助金」などを活用する企業も増えています。地方の中小企業がこれらの制度を利用して採用パンフレットや採用動画を制作し、地元学生の応募を増加させた事例も多数報告されています。
パドルデザインカンパニーの採用ブランディング事例

採用ブランディングの成功には、理念や戦略だけでなく、「実際にどのように形にするか」が非常に重要です。ここでは、パドルデザインカンパニーが実際に支援した3つの企業事例を通じて、採用ブランディングの具体的なアプローチとその成果をご紹介します。
それぞれの企業が抱えていた課題に対して、どのようなコンセプトを設計し、どのようなツールや表現で求職者との接点を築いていったのか。戦略から実行までのプロセスに注目しながら、採用ブランディングの実践的なヒントをお届けします。
◉株式会社群馬銀行
群馬銀行は、群馬県前橋市に本店を置く地方銀行です。業界が持つ「堅い」「やりがいが少なそう」というイメージを払拭し、群馬に地縁があり、群馬での就職を希望するUターン学生の興味喚起を図るため、採用サイトをリニューアルしました。
良い意味で銀行らしくない表現で、今まさに生まれ変わろうとしている銀行の姿をアピール。躍動感のあるキービジュアルや、銀行を深く知ることができる多彩なコンテンツを通して、「群馬銀行って面白そう」「自分らしく働けそう」と感じてもらうことを目指しました。
このオープンサイトに加えて、行員の仕事風景を映像にした採用どうが、インターンシップ案内DM、入行後の働き方や部署の多様さを伝えるメンバーズサイトを制作し、採用ブランディングを図ることで、母集団の獲得と内定承諾率の向上につなげました。

◉南総通運株式会社
南総通運は、千葉県を中心に地域に根差した事業を展開する総合物流会社です。物流業界は変革期にあり、AI、IoTを活用したDXの取り組みが進められています。
同社もイノベーション人材を獲得するため、「新しさ」を前面に出した採用活動を行っていました。しかし、その打ち出し方は創業80年の伝統と格式を重んじる会社の雰囲気とはギャップがあり、ミスマッチが起こっていました。
そこで本質的な魅力に軸足を置きながら、意識の高い学生にも響く採用コンセプトから開発。「流れさない人になろう」という骨太のメッセージのもと、採用サイト、採用動画、採用ポスター、採用パンフレット、会社説明会のスライド資料など、採用ツール一式をリニューアルし、採用ブランディングを図りました。

◉ひかり味噌株式会社
大豆・米・塩だけで作った無添加味噌や有機味噌を中心に、安心安全で高品質な味噌づくりを行うひかり味噌。時代に合わせて新しいことに挑戦し続ける同社は、新入社員・若手社員にも仕事を任せる社風。しかし「少しおとなしい人が多い」という採用課題を抱えられていました。
今回の採用ターゲットを、「決して派手ではないが、新しいことに恐れずチャレンジできる人物像」に設定し、採用パンフレット・採用サイトをご提案。「チャレンジは新人の仕事だ。」というキャッチコピーのもと、若手社員のプロジェクトストーリーなどのコンテンツで面白い仕事ができる会社であることを印象づけました。

伝えるのは、情報ではなく“らしさ”と“志”。

採用活動は、企業の「らしさ」や「志」に共感してもらうことが新卒採用成功のポイントです。採用ブランディングはその起点であり、学生との“感情的な接点”をつくる重要な戦略に値します。
長期的に働き続ける人材を採用するためには、理念・文化・価値観を発信し、学生にとって「自分の働く場所」として選ばれる企業になる必要があるため、採用担当者や経営者は、短期的な募集施策だけでなく、継続的なブランディング戦略の設計と運用の視点を持ち、自社らしさを前面に打ち出した、強い採用ブランディングを築くことが大切です。
ブランディングチーム
パドルデザインカンパニーには、プロジェクト全体を統括するプロデューサーやブランディングディレクターをはじめ、コピーライター、エディトリアルライター、アートディレクター、ブランドデザイナー、Webデザイナー、映像ディレクターなどが在籍し、プロジェクト毎に最適なチーム編成を行うことでブランドを最適解へと導いていきます。
記事制作/プロデューサー
ご相談や課題を受け、実施プランの策定やプロジェクトの大まかなスケジュールなどを策定します。また、プロジェクトのゴール設定やマーケティング環境分析、市場分析などを行い、市場で勝ち抜くブランド戦略提案などを行います。
Producer
CEO 豊田 善治
東京のブランディング会社

パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。