現場の魅力、伝わってますか?

建設業の魅力を伝え、共感と応募につなげる採用ブランディングのポイントと事例、実践的な工夫などを紹介します。

Introduction

建設業×採用ブランディングの極意

建設業界の採用において、実は“最大の武器”になるのが「現場の魅力」です。しかし、その魅力が求職者に十分に伝わっていないケースが多くあります。「きつそう」「古そう」「泥くさい」そんな先入観を払拭し、今の建設現場のリアルなやりがいや面白さ、そして未来の可能性をしっかり届けることこそが、採用成功の力になります。
本記事では、現場の魅力を最大限に引き出し、求職者に刺さる採用ブランディングの極意を具体的に解説します。

建設業の「現場の魅力」は、なぜ伝わりにくいのか?

建設業界は、インフラや街づくりを支える「社会的に不可欠な仕事」でありながら、採用市場においては依然として“敬遠されがちな業界”として見られています。その要因は、単なるイメージの問題だけではなく、「現場のリアル」が十分に伝わっていないことにあります。ここでは、求職者に魅力が届かない3つの主な原因を整理してみましょう。

【原因1】ネガティブなイメージの根強さ(3K・昭和感など)

「きつい・汚い・危険」といった“3K”のイメージや、「上下関係が厳しそう」「古い体質」「アナログな仕事」といった昭和的な固定観念がいまだに根強く残っています。実際には働き方改革や現場のデジタル化が進み、若手も活躍しやすい職場へと変化してきていますが、その現状が十分に伝わっていないため、「なんとなく大変そう」「自分には合わなさそう」といった先入観で選ばれにくくなっていると言えます。

【原因2】実際の仕事内容や働く人の姿が見えない

工事現場や具体的な仕事内容は、外からはなかなか見えにくいものです。また、求人票や会社案内では「型通りの説明」ばかりで、働く人の想いや日常が伝わりにくいのも大きな課題です。求職者は「どんな人と働くのか」「どんな現場なのか」「やりがいはあるのか」といった“感情的な接点”を求めており、それがないと企業への興味や共感が生まれにくくなります。

【原因3】求職者との「情報ギャップ」が原因に

採用する企業と、応募を検討する求職者との間には、「見ているもの」や「感じているもの」のギャップがあります。企業側は「魅力は現場にある」と感じていても、その魅力が言語化・可視化されておらず、求職者の目線に届いていないケースが多々あります。また、Z世代を中心に、仕事選びにおいて「共感」や「自己成長」を重視する傾向が強まっている今、企業がその価値観に合わせた発信ができていないことも、情報ギャップの一因となっています。

現場の進化する今こそ“採用ブランディング”のチャンス

かつて“3K”と呼ばれた建設業のイメージは、今や確実に変わりつつあります。
ICTやBIMといったテクノロジーの導入、柔軟な働き方や職場環境の整備、若手の挑戦を歓迎する風土づくりなど。現場は確実に進化しており、これまでのネガティブなイメージを覆す“材料”は十分にそろっています。
だからこそ、いまこそ「採用ブランディング」の力で、その変化と魅力をしっかり伝える施策が求められています。

【建設業の変化1】ICTやBIMなど技術革新で働き方が変化

建設業界でもデジタル化が進み、ICT(情報通信技術)やBIM(Building Information Modeling)の活用により、設計・施工のプロセスが大きく変化しています。現場ではドローンや3Dスキャン、タブレットを使った進捗管理が当たり前になりつつあり、重労働・アナログという従来のイメージから脱却しています。若手世代にとっては、テクノロジーを活用した「スマートな働き方」が、業界への関心を高める大きな武器になります。

【建設業の変化2】若手が活躍しやすい職場文化への転換

以前は年功序列や厳しい上下関係が当たり前だった建設現場も、今では「風通しの良いチームづくり」や「成長を応援する環境づくり」へと変わりつつあります。また、経験の浅い若手でも、意見を出し、現場の改善に関わり、プロジェクトの一員として活躍できる職場が増えています。こうした文化の変化は、成長意欲のある人材にとって大きな魅力となるため、積極的に発信する価値があります。

【建設業の変化3】チームワークや達成感を伝えるべき理由

建設現場では、職種や立場を超えたチームで一つのモノづくりを成し遂げるという、他業種にはない「大きな達成感」があります。この喜びや一体感は、実際に働いてみないとわからない“隠れた魅力”でもあります。だからこそ、リアルな現場のストーリーや、社員同士の関係性、完成時の感動などを丁寧に伝えることが、共感と応募につながる強力な採用ブランディングになります。

求職者に刺さる「採用ブランディング」の3原則

どれだけ魅力的な現場や働きやすい環境が整っていても、それが“伝わらなければ”応募にはつながりません。特に現代の求職者は、企業選びにおいて「感情的な共感」や「自分ごととして想像できるか」を重視します。そのため、採用ブランディングにおいては、「何を」「どう見せるか」が極めて重要です。
ここでは、求職者の心に届く採用ブランディングの3つの基本原則をご紹介します。

【原則1】リアルな現場を映す(社員インタビュー・現場動画)

文章やスペックだけでは伝えきれないのが「現場の空気感」や「人の温度感」です。だからこそ、社員インタビューや現場紹介動画など、リアルをそのまま映すコンテンツが重要になります。
実際に働いている社員の言葉には説得力があり、「自分もここで働けそう」と感じてもらうきっかけになります。動画ではさらに、仕事の流れ・仲間とのやりとり・現場の雰囲気などを五感で伝えられるため、特に効果的だと言えます。

【原則2】共感を呼ぶストーリー性(成長、誇り、挑戦)

ただ“情報を並べる”だけでは人の心は動きません。「なぜこの仕事を選んだのか」「どんな苦労があり、どう乗り越えたのか」「この仕事を通じて何を得たのか」など、一人ひとりのストーリーがあることで、求職者の心に響く“共感”が生まれます。
特に、建設業ならではの“ものづくりの誇り”や“大きな挑戦に関わるやりがい”は、ストーリーの核として有効です。

【原則3】ビジュアルで魅せる(写真・デザイン・UI)

「印象の8割はビジュアルで決まる」とも言われるほど、第一印象は重要です。
採用サイトや採用パンフレットの写真が暗い・古い・硬い印象だと、それだけで「昭和っぽい」「自分と合わなそう」と敬遠される可能性があります。
明るくエネルギッシュな現場写真、働く人の自然な笑顔、スッキリとしたデザイン・見やすいUIなど、視覚的な印象で“今っぽさ”や“働きやすさ”を伝えることが、応募者の心を動かす大きな要因になります。

制作事例に学ぶ「建設業×採用ブランディング」のアプローチ

少子高齢化や業界イメージの固定化により、建設業界の採用活動は年々難易度を増しています。そんな中、自社の“魅力”や“価値”を再発見し、それを戦略的に発信する「採用ブランディング」が成果を上げています。
ここでは、地域密着企業として若年層の共感を獲得を図る「細田組」、CI再構築と連動した採用施策で働く誇りを可視化する「カジマ・リノベイト」、そしてスケール感ある現場の魅力をデザインで伝える「横田海事」と3社の事例を通して、「建設業の未来を担う人材」と出会うためのブランディング戦略をご紹介します。

地域密着×挑戦心を伝える、細田組の採用ブランディング戦略

建設業への応募者減少という課題に対し、細田組では“まちをつくる誇り”や“社員一人ひとりの成長”に焦点を当てた採用ブランディングを実施。社員のリアルな声と現場の臨場感を軸に、「建設業はかっこいい」「挑戦できる」というポジティブなメッセージを若年層に届けました。
コーポレートメッセージやビジュアルトーンも刷新し、地域への貢献と未来志向の姿勢を明確に発信。魅力が“伝わる設計”によって、共感と応募につながる導線を構築しています。

採用ブランディング事例|株式会社細田組

安心を、もっと強く。カジマ・リノベイトの採用ブランディング戦略

老朽化した社会インフラの再生に挑むカジマ・リノベイト株式会社。
創業30周年を機に、採用強化と組織の一体感醸成を目指し、CI(コーポレート・アイデンティティ)の再構築と連動した採用ブランディングを実施しました。「当たり前に続く日常を守り、未来へつなぐ」というミッションを軸に、社員インタビュー・現場写真・動画コンテンツを通して、“働く誇り”や“共に挑むチーム感”をリアルに可視化。感覚的に伝わる採用サイトと映像を設計することで、共感と応募につながる採用コミュニケーションを実現しています。

採用ブランディング事例|カジマ・リノベイト株式会社

見えない専門性を見せる力へ。横田海事の企業ブランディング戦略

港湾・海運・土木のプロフェッショナル集団として、東京湾を支え続ける横田海事。その確かな実績とスケール感のある事業を社会に伝えるべく、VI統一と情報整理を目的とした企業ブランディングを実施しました。
ドローン撮影による大迫力のビジュアルを軸に、Webサイト・パンフレット・名刺に至るまで統一感のあるデザインを展開。特にコーポレートサイトでは、施工実績や船舶情報を直感的に伝えられるようカスタムCMSを導入し、ユーザビリティと情報訴求力を両立させました。
会社案内パンフレットは営業・採用双方を意識し、縦開き構成でクレーン船のスケール感を最大限に表現。“海を支える現場の誇り”と“社会への信頼”を、デザインの力で可視化した企業ブランディング事例です。

企業ブランディング|株式会社横田海事

今日からできる!「伝わる現場」の見せ方5選

現場の魅力は、言葉だけでは伝わりません。特に建設業のように「働く姿」がカッコよく、誇りに満ちた仕事であっても、その臨場感やリアルさをどう表現するかで、応募者の反応は大きく変わります。
ここでは、採用・広報・営業にも活かせる、「現場の魅力を視覚と言葉で伝える」ための具体的な見せ方を5つご紹介します。いずれも、今日から実践できる視点と工夫ばかりです。

【見せ方1】写真1枚で語る“職人の目”

言葉よりも、目が語る。真剣なまなざし、集中した横顔、作業に没頭する背中など、「仕事の誇り」が滲み出る一瞬を捉える写真は、現場の魅力を直感的に伝える強力な武器になります。ポージングよりも“リアル”を重視しましょう。

【見せ方2】ドローンで魅せる現場全景

現場のスケール感やダイナミックさを伝えるには、俯瞰からの映像が効果的です。ドローン撮影を活用し、普段は見られない角度からの現場風景を映し出すことで、視覚的インパクトと信頼感を同時に高めることができます。

【見せ方3】「働く理由」を語る社員の声

「なぜこの会社で働いているのか」「どんなやりがいを感じているか」など、社員のリアルな言葉は、求職者にとって共感と安心を生む材料になります。形式ばらず、自然な語り口で“人となり”を伝えることがポイントです。

【見せ方4】メディア・広報と連携した発信

現場の活動や社員の活躍を、地域メディアや社内報、SNSなど複数の媒体で継続的に発信することで、「いい会社感」をじわじわ広げていくことができます。特に、第三者視点からの紹介は信頼性アップにもつながります。

【見せ方5】パンフレットや動画の刷新

既存のパンフレットや会社紹介動画も、情報の“見せ方”次第で印象が大きく変わります。現場で働く人々の姿、職場の空気感、未来へのメッセージなどを盛り込んで、“共感で伝える”構成に刷新しましょう。採用や営業の成果を左右する大きな要素です。

まとめ:魅力は、発信して初めて“力”になる

いま建設業に求められているのは、ただの人手集めではなく、「共に未来を築く仲間づくり」です。現場の魅力に自信があるなら、あとは“どう伝えるか”がすべて。共感と憧れを生む採用ブランディングで、次世代の力を引き寄せましょう。

ブランディングチーム

パドルデザインカンパニーには、プロジェクト全体を統括するプロデューサーやブランディングディレクターをはじめ、コピーライター、エディトリアルライター、アートディレクター、ブランドデザイナー、Webデザイナー、映像ディレクターなどが在籍し、プロジェクト毎に最適なチーム編成を行うことでブランドを最適解へと導いていきます。

記事制作/プロデューサー

ご相談や課題を受け、実施プランの策定やプロジェクトの大まかなスケジュールなどを策定します。また、プロジェクトのゴール設定やマーケティング環境分析、市場分析などを行い、市場で勝ち抜くブランド戦略提案などを行います。

Producer
CEO 豊田 善治

東京のブランディング会社

パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。