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情報処理能力の向上

improvement of ability

情報処理能力の向上

量と質を両立し、
良質な運営を図る。

情報処理能力の高い組織づくりと改善策を学びます。
組織における情報処理モデルの最適化

カナダ出身でアメリカ・ハーバード大学名誉教授の制度派経済学者ガルブレイス(John Kenneth. Galbraith)は、「組織の情報処理能力を高めるには、不確実性を減らし、組織を構造化する必要がある」と分析し、組織を情報処理機構と捉えた情報処理モデルを提唱しました。不確実性の増加に伴って必要となる調整に対し組織は、組織内行動のルール化とプログラム化、階層的な意思決定構造の導入、下部階層に対する目標設定などの仕組み化を行い、過負荷の影響を最小限に留め、業務効率改善に向けた仕組みを導入して対処していく必要があります。

●組織内行動のルール化とプログラム化

あらかじめ必要とされる行動様式や調整事項をルール化やプログラム化する事で一元化し、想定される出来事に対し、都度の調整を不要とするよう仕組み化する。これにより、情報処理速度が向上し、業務効率が改善されることで組織の処理能力向上から売上向上及び利益率向上を図ります。

●階層的な意思決定構造の導入

都度の調整が必要となる事項に対し、各部署を管理する階層構造を構築し、各階層構造の上席が意思決定を行うよう仕組み化する。ルール化やプログラム化で対処できない例外を調整する役割を各部署内で完結することで迅速な情報処理を行い、業務効率の改善から売上向上及び利益率向上を図ります。

●下部階層に対する目標設定

各部署の業務を統合する上で達成すべき事項を目標として明確に定め、目標達成時には調整を不要とするよう仕組み化する。これにより各部署の責任が明確となり、負荷がいち部署に集中することを未然に防ぎ、責任の所在も明確になります。また、各部署が目指すゴールがルールとして明確化されることで、情報処理速度が向上し、業務効率が改善されることで組織の処理能力向上から売上向上及び利益率向上を図ります。

組織が処理すべき情報量は、業務の不確実性が増すほど増加していくことから、ルール化やプログラム化を行い、業務効率化を図ることが肝要です。また、ルール化やプログラム化で一元対応できない例外は前記の通り各部署内で完結できるよう、階層的な意思決定構造(営業部/製造部/検査部/管理部などの部署構造及び、部長/課長/係長/主任などの役職階級と権限委譲)を組織に取り入れることが大切です。
また、職務の不確実性は、職務の細分化、アウトプットの多様性、期待業績水準(目標設定)により増減することから、いかにして適切な組織構造化を図るかが組織全体の情報処理能力を左右し、売上及び利益に直結すると言っても過言ではありません。

情報処理量の軽減と情報処理能力の向上

組織が円滑かつ適切に運営されるためには、組織が処理すべき情報量よりも、組織が有する情報処理能力が上回らなければなりません。いち個人の能力向上はもちろんですが、それ以前の組織設計の段階では、情報処理量の軽減と、情報処理能力の向上を図る必要があります。

●情報処理量2つの軽減策

➡︎①組織スラック(企業が持つ余裕資源)の投入
効率性のみを徹底的に追求する企業経営では、企業が「いざ」の事象に直面した際、経営立て直しに必要な予算的・組織的な余裕がなく、経営が行き詰まる危険性を孕んでいます。また、いつもギリギリの状態で行う運営では、従業員に常に高いプレッシャーを与え続けることとなり、社内の活気や創造性が失われモチベーション低下を招きかねません。
そこで注目されているのが「組織スラック(企業が持つ余裕資源)」の導入です。企業が組織スラックの導入や無理のない期待業績水準(目標)を設定することで、利用可能な資源にゆとりが生まれ、結果、無理なく部署内で対応できるようになります。これにより、部門間調整や例外となる情報処理も減少し、組織が円滑かつ適切に運営されるようになります。

➡︎②自己完結型職務の形成
ひとつの情報処理を複数メンバーで確認・承認を行うことで、情報処理量は2倍3倍と増加するばかりか、処理に要する時間が飛躍的に長くなり、結果、業務量の増加につながります。また、情報処理のアウトプットによりその後の対応が変わり、部門間を跨ぐことで部門間調整が必要となり、情報処理量の増加につながります。
これを踏まえ多くの企業・組織で採用されているのが「アウトプット別の組織構造」です。類似するアウトプット毎に部署を構え、部署毎の専門性を高め、情報処理の多様性を抑えることで不確実性のある情報処理量の軽減を図り、情報処理の効率化から組織の円滑化かつ適切な運営を図ります。業種・業界別に設けられた部署・部門などがアウトプット別の組織構造の代表例として挙げられます。
一方、自己完結型職務には、機能別の専門性が失われる点や、規模の経済が働きにくくなるという課題も挙げられているのも事実です。

●情報処理能力2つの向上策

➡︎①縦系列の情報処理システムの改善
新たな情報処理システム(ソフトウェアやネットワーク)を導入することで、意思決定者の意思決定能力と情報の提供頻度を高め、迅速な情報処理を図ります。情報処理システムの導入は、計画段階では情報処理量が増加しますが、導入後の実行段階での情報処理量の軽減が見込めます。

➡︎②横断的関係の形成
関連する部署間の連携を高め、直接的に情報処理を調整できるよう組織構造を形成することで、階層構造の下部での意思決定から情報処理量と情報処理速度を高めていきます。ボトルネックになりがちな階層構造の上部での情報処理量を軽減することで、業務の円滑化や迅速な対応を可能とし、組織全体の処理能力を向上していきます。
横断的関係には、部門管理者間の直接連携、リエゾン(組織間の連絡・連携)専任担当者の設置、タスクフォース(通常の組織内で行う職務とは別に、緊急性の高い特定課題の達成に向け、一時的に設置される組織)の形成、恒常的(変化がなく一定)な部門横断チームの形成、マトリックス組織の導入などが挙げられます。

●官僚制の導入

官僚制とは、規模の大きな企業・組織における管理・支配システムで、合理的・合法的権威を基礎に据え、安定性を確立した組織を指しています。組織論における官僚制は、ドイツの政治学者・社会学者・経済学者であるマックス・ヴェーバー(Max Weber)により提唱され、組織や集団での支配には以下の2通りあるとしています。

➡︎①利害状況による支配
命令を聞くことが自身の特になるという観点から命令に従う、損得感情に基づく支配。
➡︎②権威による支配
命令権力と服従義務による支配で、従うのが当然だという態度による支配。

官僚制の業務を安定させるのは②の権威による支配であり、権威による支配の正統性(上司の命令は絶対など)を規則により明確に定めることが不可欠となります。また、国家、軍隊、産業資本主義組織などの近代組織は、合理性を追求した官僚制となっており、その特徴は以下の3点に集約されると言えます。

➡︎①標準化:抽象的・一般的な規則に基づいて職務遂行される
➡︎②階層性:権限のヒエラルキー(階層)が明確になっている
➡︎③没人格性:支配者・服従者も非人格的な秩序に服従し、制定された規則の範囲内で命令と服従がなされる

一方、官僚組織は、合理性や効率性を追求するあまり、組織の硬直化を招き、環境変化への適応が困難となるなど、以下3点が課題として挙げられています。

➡︎①訓練された無能
状況が変化しているにも関わらず、同じ行動パターンを繰り返してしまう。
➡︎②目標の転移
規則を守ることは情報処理能力を高める手段であったにも関わらず、規則を守ることを自己目的に変化させてしまう。
➡︎③顧客不満足
規則に捉われて顧客ニーズに対応することができない。結果、顧客の不満足度を高めてしまう。

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