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企業ブランディングにおけるタレント起用の効果
タレント起用が企業ブランディングに及ぼす影響力
ブランドイメージに多大な影響を及ぼす「タレント起用」の効果と注意点を伝授します。
企業ブランディングにおいて「タレント起用」が注目される理由
競争の激しい市場において、自社のブランド価値を明確に伝える「企業ブランディング」は重要な戦略です。その中で近年、著名人や芸能人などの「タレント起用」が、単なる広告手法ではなく、ブランドの個性やビジョンを伝える有力な手段として注目されています。
本記事では、タレントの起用が企業ブランディングに与える影響について、具体的な事例を交えながら解説します。
1.タレント起用で「短期間での認知拡大」を目指す企業ブランディング

企業ブランディングを進めるうえで、まず課題となるのが「認知の獲得」です。どれだけ優れたビジョンを掲げ、魅力的な商品やサービスを持っていても、存在を知られなければブランドは確立されません。
そこで力を発揮するのがタレントの影響力です。特に人気のある俳優やアスリート、インフルエンサーなどは多くのファンを抱えており、その発信力は絶大です。タレントを戦略的に活用することで、短期間での認知拡大が可能となり、企業ブランディングの初動における起爆剤となります。
◉実例:タマホーム×木村拓哉さん
ハウスメーカーのタマホームは、設立当初は認知度が低く、競合他社に比べてブランド力で劣っていることに課題がありました。しかし、2009年に木村拓哉さんを起用し、ディープ・パープルのヒット曲「紫の炎」の替え歌を使用したテレビCMを展開。一気に全国的な認知度を獲得し、ブランドイメージの刷新に成功しました。
2.差別化戦略としてタレント利用する企業ブランディング

競合が多い市場では、商品やサービスの性能だけで勝負するのは難しくなってきています。その際、タレントの起用によりブランドの「顔」を作り、他社との明確な差別化を図る手法が効果を発揮します。化粧品業界では、同じような成分の商品が数多く存在する中、起用するモデルや女優のイメージがそのままブランドの印象を左右しています。
あるブランドでは、ナチュラル志向のタレントを継続的に起用することで、自然派コスメというポジションを確立しました。さらに、タレントと共同で商品開発やコラボレーションを行うことで、単なる広告の枠を超えた「共同価値の創出」が可能となります。これは企業のブランドをより深いレベルで消費者と共有するための賢い戦略です。
◉実例:日清食品「どん兵衛」×吉岡里帆さん・星野源さん
日清食品は「どん兵衛」のCMに女優の吉岡里帆さんと俳優の星野源さんを起用し、「どんぎつね」シリーズを展開しました。若年層の売上が低迷する中、二人の人気タレントを起用することで、若年層の喫食率が男女ともに大きく増加し、ブランドの若返りに成功しました。
3.企業姿勢の体現をシンクロする企業ブランディング

タレントが持つイメージや人格は、そのまま企業のブランドイメージと直結するため、企業ブランディングにおいては、タレントの持つ価値観や発信内容と企業の理念が合致していることが極めて重要だと言えます。
たとえば、環境意識が高いことで知られるタレントを起用すれば、企業が掲げるサステナビリティの取り組みへの真剣さが伝わりやすくなります。そのため、タレント起用の際は、企業が長期的に築いていきたいブランドの「人格(ブランド・パーソナリティ)」を、候補となるタレントが体現できているかを見極める必要があります。
◉実例:ナイキ×コリン・キャパニック
ナイキは、社会的課題に対する明確な姿勢を示すマーケティングを展開しています。特に、元NFL選手のコリン・キャパニックを起用した「Believe in something」キャンペーンでは、人種差別に反対するメッセージを発信し、企業の信念を強く打ち出しました。このような取り組みは、特に若い世代からの支持を獲得し、ブランド価値向上に貢献しています。
4.共感とエンゲージメント強化に向けた、タレント起用の企業ブランディング

企業ブランディングにおいて、消費者との「共感」は、ロイヤルティ向上に欠かせない重要な要素です。この「共感」の醸成に向けタレントを起用することで、単なる広告では伝えきれない「企業の物語」を、感情的に伝えることができます。
特に効果的なのは、タレント本人の体験談を通じたストーリーテリングです。実際にその企業のサービスを利用してポジティブな体験を得たことを、ドキュメンタリー形式で語るCMは、多くの視聴者に強く響きます。 最近ではB2B企業でも、業界の専門家や著名な経営者を「タレント」として起用するケースが増えています。こうした実績のある人物の言葉は、説得力と信頼感が高く、企業ブランドの権威性を高めるのに有効です。
◉実例:IBM×業界インフルエンサー
IBMは、自社製品の活用促進を目的に、業界の専門知識を持つインフルエンサーを起用したマーケティングを展開しています。インフルエンサーが実際に製品を使用し、その体験や成功事例をSNSで発信することで、製品の魅力や有用性を効果的に伝えています。
企業ブランディングに向けたタレント起用時の注意点

企業ブランディングにおけるタレント起用にはリスクも伴います。有名タレントがスキャンダルを起こし、CM放送の中止や企業イメージの低下に繋がった事例は枚挙に暇がありません。
このようなリスクを回避するためには、タレントの過去の言動や社会的信頼性、企業との価値観の一致を慎重に見極める必要があります。信頼できるエージェントやPRチームとの連携を通じて、戦略的かつリスク管理を前提にタレントを起用することで、企業ブランディングの信頼性を高めることができます。
まとめ:タレントを起用しての企業ブランディングは戦略的に

企業ブランディングにおけるタレント起用は、単なる宣伝手法にとどまらず、ブランド認知、ブランド価値の形成、共感の獲得、そして差別化戦略として、多面的に機能します。特に競争が激化する現代のマーケティング環境においては、タレントの影響力をいかに戦略的に取り込むかが、ブランディング成功への近道となります。
ただし、効果的なタレント活用のためには、短期的な話題性だけを追うのではなく、企業理念や方向性と一致する人物を選ぶ必要があります。また、長期的な視点でブランドの一貫性を保ち続けるためのプランニングも欠かせません。
ブランディングチーム
パドルデザインカンパニーには、プロジェクト全体を統括するプロデューサーやブランディングディレクターをはじめ、コピーライター、エディトリアルライター、アートディレクター、ブランドデザイナー、Webデザイナー、映像ディレクターなどが在籍し、プロジェクト毎に最適なチーム編成を行うことでブランドを最適解へと導いていきます。
記事制作/コピーライター
企業の中核概念となるミッション/ビジョン/バリューの開発やタグライン、ブランドコンセプト、ブランドストーリーなどのMI(マインド・アイデンティティ)開発を担当。ブランドコミュニケーションにおいては、制作物の企画立案・コピーライティングのほか、取材・ライティングを担当します。
Senior Copywriter
Creative Director
Miyazaki
東京のブランディング会社

パドルデザインカンパニーは、1998年創業のブランディングカンパニー。東京都港区南青山に本社を構え、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県を中心に、北海道から沖縄まで日本全国に顧客を抱えています。取引業種・業界も幅広く、IT業界や製造業、商社、建築・設備業、金融・不動産、食品会社に至るまで、あらゆる業界のブランディングを手掛けています。
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