理想とするブランド形成ができているか。現状を常に確認する。

ブランドメッセージの効果検証、メッセージを見直すべきタイミングについて解説します。

Introduction

企業・商品・サービスにおける効果検証

ブランド力の強さは、どれだけの人に認知され、深く理解され、好意を持ってもらい、共感・愛着を感じてもらえるかにかかっています。そのためブランドメッセージを通し、認知度、理解度、好感度、愛着度が向上しているか、ブランドメッセージを展開する前後で定期的に以下のようなアンケート調査やインタビューを行い、効果検証しPDCAを回していく必要があります。

●認知度を測定する

「ブランド助成想起率」と「ブランド純粋想起率」の2つの指標を用いてブランド認知度を測定します。ブランド助成想起率は「このブランドの中で、知っているブランドを全て選択してください」といった質問で競合ブランドと並べ、見聞きしたことがある人の割合を測ります。ブランド純粋想起率は「あなたが知っているイヤホンのブランド名を教えてください」といった質問で商品カテゴリを提示し、自社のブランドが回答された割合を測ります。
ブランドメッセージ作成時に想定したターゲットに対しアンケートを実施し、市場の中で認知度がどれだけ向上したかを測ると共に、回答者の性別や年齢などの属性の分析することで、どの層への認知が足りていないのかを把握していきます。

●理解度を測定する

自社ブランドに対し、抱いてほしいイメージが顧客・社会に持たれているかを調査します。リピーターから、1度だけ利用したことがある人、知ってはいるけど利用したことがないという人まで、幅広い層に向け「〇〇(自社名や商品サービスのブランド名)でイメージする特徴や印象を理由と合わせて教えてください」といったアンケートを実施します。自社が発信するブランドメッセージと一致しているか、乖離があるかを測定することで、改善点を抽出していきます。

●好感度・愛着度を測定する

NPS(ネット・プロモーター・スコア)という指標で測定します。企業や商品サービスを友人や同僚に勧める可能性を0〜10点の点数でつけてもらい、そのスコアをもとにブランドの満足度を測るものです。NPSは事業指標と深く関係しており、高い点数をつけた人ほど、企業の商品・サービスを高頻度で利用し、購買単価も高いことが明らかになっています。
ブランドメッセージを発信する前後でNPSがどう変化したのか、競合他社と比較しどれくらいの差があるのかを調査することで、ブランドメッセージが自社に与えた利益を測ることができます。

採用活動における効果検証

採用活動におけるブランドメッセージの効果検証は、「数」と「質」2つの視点で測ります。「数」については、前年度に比べて応募者が増加したか、目標設定していた応募者数を獲得できたかなど、全体の応募者数を指標に効果を測定します。「質」については、ターゲットにしていた層が応募者の中にどれだけ含まれていたのか、採用したい人材を正しく選考できたか、内定辞退が起きなかったかなど、ブランドメッセージを通じ採用活動の質をどれだけ向上できたのかを検証します。

企業のあり方、時代に合わせて見直しを

ブランドメッセージは、必ずしもずっと同じものを使い続ける必要はありません。先述のような効果検証を受けての見直しはもちろん、事業成長に伴う目標の変化や、時代によるニーズや価値観の変化など、状況によって適切なブランドメッセージに変えていく必要があります。

一方、ブランドメッセージを完全に一掃してしまっては、時間をかけて育ててきたブランドを消失させてしまう危険性も伴います。そのため、ブランドメッセージを見直す際は、ブランドの本質的なところは継承し、現状に合わないところを刷新することで、ブランドの「らしさ」を維持しながら、社会や顧客に永く支持されるブランドを育て続けていく意識を持つことが大切です。