メッセージを発信・浸透させ、自社ブランドを確立する。

開発したブランドメッセージをどのように普及させていくか。社内外への発信・浸透ステップを解説します。

Introduction

インナーブランディングとアウターブランディング

ブランドメッセージを展開する際は、まずインナーブランディングを行い、その後アウターブランディングを進めていきます。インナーは社内、アウターは社外を意味しています。社内に浸透しないうちに社外へブランディング活動をしても、ブランドの一貫性がなくなってしまい、顧客に混乱を与えてしまいます。

例えばコーポレートサイトで顧客第一というメッセージを出しているのに、店舗の顧客対応が丁寧ではない場合、ブランド力がアップするどころか、以前より悪い評判がたってしまう恐れもあります。せっかく開発したブランドメッセージが無駄になってしまわないためにも、インナーからアウターへの段階を経てメッセージを浸透させていくことが重要です。

インナーへのブランドメッセージ普及

ブランドメッセージを浸透させるためには、繰り返し何度も触れる機会を設けることが大切です。そのため、メッセージを伝える際は、ひとつの方法に絞るのではなく、さまざまな接点を活用していく施策が有効です。まずは全社的な説明会でブランドメッセージを告知し、ブランドブック、ブランドムービー、クレドブックなど「ブランドのバイブル」を配布するなどが有効です。社内全員が同じ情報を同じ状況で共有し、確認できる機会とツールを用意することで、個々の認識に差がなくブランドメッセージを認知させることができます。 その後、社内報をはじめとした定期的な社内コンテンツでの発信を通して「メッセージの理解・共感」、ワークショップや社内コンテストなどで「メッセーの自分ごと化」を進め、ブランドメッセージを浸透させていきます。

アウターへのブランドメッセージ普及|「らしさ」が伝わるルールをつくる

ブランドに対するイメージは、商品・サービスや接客などの「体験」から、Webサイトや広告などの「情報」に至るまで、あらゆるタッチポイントを介して醸成されます。そのため、各タッチポイントにおいて一貫性を持った状態でブランドメッセージを伝えていくことで、より強く、印象に残る形で訴求することができます。

「らしさ」が伝わるルールは、ブランドの世界観を伝える際に一貫性を持たせるためのルールです。ブランドコンセプトやブランドプロミスなどのブランドメッセージとそれぞれの意味、ロゴやブランドカラーなどの視覚的な要素、「クール」「スマート」「上品」などブランドに抱いてもらいたい印象を示すブランドパーソナリティをまとめた定義書(ブランドガイドライン)を作成し、シーンや担当者を問わずブランドの世界観を常に統一していきます。

アウターへのブランドメッセージ普及|メッセージを拡散・浸透させる

ブランドメッセージを以下のようなツールやイベントを通し伝えていきます。ブランドメッセージを通し「まずはブランドの存在を知ってもらう」必要がある場合には、広告やPR、「ブランドメッセージの深い理解や共感」を目的にする場合はガイドブックや映像などに注力していきます。複数の手段を講じてブランドメッセージへの接点を増やすことで、多くの人に伝えていくだけでなく、ブランドイメージをより強く印象づけることができます。

ブランドメッセージを訴求するツール

ブランドメッセージは、主に以下のツールで活用できます。

●Webサイト(コーポレートサイト/ブランドサイト)

会社概要や沿革、CSR、サステナビリティなどの会社案内をはじめ、事業案内、採用情報、IR情報、プレスリリースなどが掲載されるコーポレートサイトは、すべての企業に不可欠な、企業の顔とも言えるWebサイトです。企業の掲げるミッション・ビジョン・バリューやブランドコンセプトを掲載することでステークホルダーに正しく、もれなく思いを伝え、企業のイメージアップから価値向上や信頼獲得を図るなど、事業活動の重要な役割を果たします。

●採用サイト

採用サイトは、企業が自社の採用活動強化のために作成するWebサイトです。採用サイトには、求人情報や採用プロセス、企業文化や働く環境に関する情報などを掲載し、求職者が企業をより深く知ることができるよう構成していきます。企業のブランドイメージを向上させ、適切な人材を採用することに役立つだけでなく、採用サイトを活用することで、求職者とのコミュニケーションがスムーズになり、効率的な採用活動を行うことができます。

採用サイトは、コーポレートサイトとは異なり、求職者の視点に立っての情報提供が求められます。最近では、採用サイトにAIを導入する企業も増えており、求職者のニーズに合わせた情報提供や、自動応募システムの導入などが進んでいます。

●会社案内パンフレット

企業が自社をアピールするために作成する会社案内パンフレット。企業のミッション・ビジョン・バリューをはじめ、事業内容、製品やサービス紹介、そして会社概要・沿革・経営方針などが記載されます。

会社案内パンフレットは、企業の印象やイメージを形成するために重要な役割を果たします。また、新卒採用や業務提携先など、企業との関わりを持つ人々に対して、企業の情報を提供するためにも活用されます。一般的に会社案内パンフレットは紙媒体で作成されますが、近年ではデジタル媒体としても提供されることが増えています。

デジタル媒体の場合、動画やアニメーションなどの多様な表現方法を埋め込むなど、幅広く活用することができます。企業のイメージを形成するために会社案内パンフレットは重要なツールであり、企業の方針やスタンスを的確に表現することが求められます。

●ブランドブック/コンセプトブック

ブランドブック/コンセプトブックとは、お客様・取引先などへ、会社情報とは別に「企業の想い」や「製品・サービスのコンセプト」をメインとてまとめあげたパンフレットなどの冊子で、イラストや写真、文章などを使い想いが伝わるよう構成していきます。周年事業などのイベント時に、周年の感謝や今後の方針及び決意表明を行うなど、改めて「企業らしさ」を社内外に伝える冊子としても活用されます。

●採用案内パンフレット

採用案内パンフレットは、企業が採用活動のために作成した採用活動専用のパンフレットです。採用案内パンフレットには、企業の情報や採用プロセス、求人情報、給与・福利厚生、キャリアパス、企業文化などを掲載し、企業の採用情報を深く知ることができるよう構成していきます。企業のブランドイメージを高め、求職者に企業の魅力をアピールするだけでなく、面接前の情報提供など、採用プロセスを円滑に運ぶ役割も担います。

近年では、デジタル化も進み、採用案内パンフレットのWeb掲載やSNS公開のほか、PDF配信なども増えており、印刷物としてだけでなく、データとして広く活用する企業も増加しています。採用案内パンフレットは、企業の採用活動において不可欠なツールの一つであり、求職者とのコミュニケーションを円滑にすることで、より優秀な人材の獲得につながることが期待されています。

印刷物としての採用案内パンフレットの主な活用シーンは、合同説明会や会社説明会での配布、ハローワークや学校への設置などがあげられます。

●ブランドムービー

「企業の想い」や「製品・サービスのコンセプト」をメインとして映像化し、動画を通して伝えるツールで、実写・アニメーション・CGなど、企画の具現化に向け多様な手法で制作されます。制作したコンセプトムービーは、コーポレートサイトやブランドサイトに公開される他、広告、イベントなどでも広く活用されます。

●採用動画

採用動画は、企業が採用活動のために制作する採用活動専用の動画です。採用動画では、採用サイトや採用案内パンフレットに掲載する文字情報だけでは伝えきれない情緒を、音と映像を交え伝えていきます。そのため、多くの採用動画において採用担当者や先輩社員インタビュー、または座談会などの企画が採用されています。リアルな仕事内容や社風、働く環境などが伝わりやすく、求職者に具体的な就業シーンを想起させるため、内定後の意思決定に効果的なことから、積極的に活用する企業が年々増加しています。

近年では、採用動画の配信も容易となり、コーポレートサイトや採用サイトへの掲載だけでなく、YouTube/Instagram/FacebookなどSNSでの配信や、イベント会場での放映など、多様な媒体で採用動画を活用することで、求職者との密接なコミュニケーションが行われています。

●SNSコンテンツ

SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、人々がインターネット上でつながりを持ち、情報を共有するためのプラットフォームです。代表的なSNSにはTwitter、Instagram、Facebook、TikTok などがあり、このようなプラットフォームで共有されるさまざまな種類のコンテンツを総じてSNSコンテンツと称しています。

SNSコンテンツには、テキスト、画像、動画、音声、リンクなどが含まれます。以下に、代表的なSNSコンテンツの例を挙げてみます。

・ツイート:Twitter上での短いメッセージ。
・投稿:InstagramやFacebook上でのテキストや画像の投稿。
・ストーリー:InstagramやFacebook上での短時間で消える画像や動画。
・ライブ配信:YouTubeやTwitchなどでのライブ動画配信。
・ショートムービー:Instagram ReelsやTikTokでの短い動画。
・ブログ:個人的なウェブサイトでの記事投稿。

これらのSNSコンテンツを、ブランドメッセージの訴求に効果的に活用したい場合には、相応の戦略や技術が必要となるため、専門的な知識が求められます。