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ブランドの魅力を伝える「ブランドメッセージの基礎知識」
ブランドの魅力を伝える、ブランドメッセージ。
ブランドメッセージの種類とそのメリットを解説します。
ブランドメッセージの基礎知識
企業や商品・サービスのイメージを、より強く、明確に伝える「ブランドメッセージ」。ブランドメッセージには、それぞれが担う役割がありメリットも異なります。まずはブランドメッセージの種類とそのメリットについて、詳しく解説します。
ブランドメッセージとは

ブランディングには、ロゴやカラーなどの視覚的(ビジュアル)要素と、ブランド名やキャッチコピーといった言語的(バーバル)要素の両方が存在します。その中でブランドメッセージは、言語的要素の一つとして、企業や商品・サービスの価値や想いを象徴的に伝える役割を担います。
ブランドメッセージは、ブランドの存在意義を表す「ブランドパーパス」や、顧客や社会に対する約束を示す「ブランドプロミス」など、目的や機能に応じて複数の種類に細分化されます。これらを通じて、ブランドの世界観や方向性を明確にし、顧客をはじめとしたステークホルダーとの共感や深い信頼関係を築くことができます。
ブランドメッセージの種類

ブランドメッセージとは、企業や製品が顧客に伝えたい価値や理念を言語化したものであり、ブランドの信頼性や魅力を高めるために欠かせない要素です。ブランドメッセージにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる役割を担っています。ブランドメッセージを戦略的に組み合わせることで、ブランドの世界観や価値観をより強く、効果的にステークホルダーへ伝えることができます。
◉ブランドステートメント
ブランドステートメントとは、ブランドがどのような存在であるか、何を目指しているかを簡潔な文書や文言で表したブランドからのメッセージです。具体的には、ブランドが提供する価値観や想いの他、ミッション、ビジョンなどもブランドステートメントに含まれます。
ブランドステートメントは、ブランド・アイデンティティを明確にすることが目的であり、そのブランドの商品やサービスに対する独自性を表現するために使用されます。また、ブランドステートメントは、ブランド・コミュニケーション戦略の基礎となり、広告やマーケティング活動などで使用されていきます。
ブランドステートメントは、ブランドの特性や独自性を的確に表現することが重要です。そのため、ブランドステートメントの策定には、ブランドの理解、市場動向の把握、顧客ニーズの分析などが不可欠となります。
◉ブランドパーパス
ブランドパーパスとは、企業やブランドが、単なる利益追求だけでなく、社会的使命や貢献を果たすことをステークホルダーに約束することを、簡潔な文書や文言で表したブランドからのメッセージです。つまり、ビジネスにおいて、商品やサービスを提供するだけでなく、社会的な問題や課題に対して貢献することを目指す、企業やブランドの存在意義を示すものです。
ブランドパーパスは、企業の利益追求だけでなく、社会的な使命や価値を追求することが、ブランドの成長や繁栄につながるという考えに基づいています。例えば、環境問題や社会問題に取り組む企業が、消費者から支持されることで、競争優位性を得ることができるといった効果が期待されます。
ブランドパーパスは、企業の経営理念やミッションと密接に関連しています。企業が自らの強みを生かし、社会課題やニーズに合わせた取り組みを行うことで、社会的な信頼性やブランド価値を高めることができます。また、ブランドパーパスは、社会に貢献することで、社員や顧客に対して、企業の存在意義や誇りを与えることができるという効果もあります。
◉ミッション / ビジョン / バリュー
企業が持つ理念や方向性を明確にするうえで、ミッション(使命)、ビジョン(未来像)、バリュー(価値観)の3つは非常に重要な要素です。これらは、社内外に向けたメッセージとして、ブランドの信頼性や一貫性を支える土台となります。
ミッション(Mission)
ミッションは、企業や組織が「いま、何のために存在しているのか」「何を実現するために活動しているのか」を示す現在の使命や存在意義を言語化したものです。日々の業務や意思決定の指針となり、従業員や関係者に方向性を示す役割を果たします。
ビジョン(Vision)
ビジョンは、企業が将来的に「どんな姿を目指すのか」「どんな社会を実現したいのか」といった未来の理想像を示します。ミッションに基づいて描かれる長期的な目標であり、社員のモチベーションを高めたり、ステークホルダーとの共有価値をつくる役割も果たします。
バリュー(Value)
バリューは、企業が大切にする価値観や行動指針です。従業員が日々の行動において何を基準にするべきかを明示し、組織の文化や判断基準を形成します。バリューは企業の信頼性やブランディングに直結する重要な要素です。
◉ブランドプロミス
ブランドプロミスとは、企業やブランドが消費者に提供する商品やサービスに関する約束や保証を、簡潔な文書や文言で表したブランドからのメッセージです。つまり、ブランドが消費者に対して提供する価値を具体的に示し、消費者に安心感や信頼感を与えることを目的としています。
ブランドプロミスは、消費者にとってブランドが提供する価値や魅力を知る上で重要な情報源の一つとなります。例えば、品質や信頼性、安全性、環境に配慮した取り組みなど、消費者にとって重要な要素を明確に示すことで、ブランドの選択肢の一つとして認知され、消費者の購買意欲を高めることができます。
また、ブランドプロミスは、ブランドのコミュニケーション戦略の基盤ともなります。ブランドプロミスを明確に示すことで、広告やマーケティング活動などで、消費者にブランドの魅力や特徴を訴求することができます。さらに、ブランドプロミスは、消費者からの評価やフィードバックを受けて、改善や進化を重ねることで、ブランドの成長や発展につながることがあります。
◉ブランドストーリー
ブランドストーリーとは、ブランドが持つ歴史や背景、ビジョン、哲学、製品開発の秘話、創業者のストーリーなど、ブランドの特徴や魅力を伝えるストーリーのことです。
ブランドストーリーは、ブランドの独自性やユニークな要素を強調することで、消費者に印象付け、ブランドイメージを形成するために使用されます。また、ブランドストーリーは、消費者にブランドへの共感や愛着を持ってもらうことができ、ブランドのロイヤルティを高めることができます。
ブランドストーリーは、広告やマーケティングキャンペーン、商品のパッケージやラベル、ウェブサイトやSNSなど、様々な媒体で使用されます。例えば、コカ・コーラは、「開いて、楽しい、コカ・コーラ」「スカッとさわやかコカ・コーラ」「the Coke Side of Life(Cokeのきいた人生を)」などのキャッチコピーとともに、世界中で人々を幸せにするドリンクであることを訴求する広告を展開し、そのブランドストーリーを強化しています。
また、ブランドストーリーは、ブランドの成長や変化に合わせて更新されることもあります。新しい商品の開発や社会的な要請に応えるために、ブランドストーリーを改定することで、消費者に新たな魅力を提供することができます。
◉タグライン
タグラインとは、広告やマーケティング活動において、商品やブランドの特徴や魅力を簡潔に表現する短いフレーズやスローガンのことを指します。ロゴマークとセットで使用されることも多くあります。また、キャッチコピーとも呼ばれます。
タグラインは、商品やブランドのイメージを伝える上で非常に重要な役割を持ちます。簡潔で記憶に残りやすいフレーズであれば、消費者に商品やブランドの特徴や魅力を簡単に理解してもらうことができます。また、タグラインは、広告キャンペーンの一環として、商品の認知度を高めたり、新しい商品のローンチ時に消費者の関心を引きつけたりするために使用されることがあります。
有名なタグラインの例としては、ナイキの「Just Do It」やアップルの「Think Different」があります。これらのタグラインは、商品やブランドのコンセプトを端的に表現しており、消費者の印象に残るような言葉選びがなされています。
◉キャッチコピー
キャッチコピーとは、広告や宣伝文句、商品のパッケージなどで使われる、商品やサービスの魅力や特徴を簡潔に表現する短い文句のことを指します。
キャッチコピーは、商品やサービスを広く知ってもらうために欠かせない重要な要素の1つであり、消費者に商品やサービスの魅力や特徴をアピールすることができます。また、商品やサービスの認知度を高めるために、広告キャンペーンや販促活動などで使用されることがあります。
キャッチコピーは、簡潔で覚えやすい言葉遣いが求められます。また、その商品やサービスが抱える課題や顧客の問題解決に向けた提案を含むことが多く、消費者にとってのメリットや利便性をアピールすることが重要です。
有名なキャッチコピーの例としては、飲料メーカー・コカ・コーラの「Taste the feeling」や、自動車メーカー・トヨタの「Good Thinking, Good Products」などが挙げられます。これらのキャッチコピーは、商品やサービスの特徴やメリットを的確に表現しており、広告キャンペーンによって消費者の認知度を高めるために効果的に使用されています。
ブランドメッセージ作成のメリット

ブランドメッセージは、関係者一人ひとりが漠然と抱いている「私たちのブランドは将来こうありたい」という理想像や、「ターゲットからこんな風に思われたい」といったブランドのあり方を、整理して言語化したものです。これを明確に表現することで、次のようなメリットが得られます。
◉ブランドの共通認識が生まれる
ブランドの「らしさ」や価値観、目指す方向性などを明確な言葉として表現することで、それを目にしたすべての人がブランドに対して共通の理解を持つことができるようになります。特に社内においては、部署や職種を問わず、社員一人ひとりがブランドの本質を共有し、それぞれの立場から一貫した行動や発言ができるようになります。
こうした共通認識が土台となり、組織全体が同じ目標に向かってブランドを育てていくための体制が整い、より強く一貫性のあるブランドづくりが実現できるようになります。
◉統一感のあるブランディングを行える
ブランドメッセージが明確に定まっていることで、ロゴやデザインなどの視覚的要素を制作する際はもちろん、会社案内や商品紹介のウェブサイト、各種プロモーションツールに至るまで、ブランドを表現するあらゆる場面で一貫したイメージを保つことが可能になります。
さらに、新商品やサービスの開発、採用活動においても、ブランドの核となる価値観や方向性が共有されているため、担当者間で認識のズレが生じにくくなります。
その結果、社内外のあらゆる接点で統一感のあるブランディングを実現し、ブランドの信頼性や魅力を効果的に伝えることができます。。
◉ブランドの認知度が向上する
ブランドメッセージを作成し明確化することで、商品やサービスの特徴や魅力をわかりやすく簡潔に伝えることができます。また、統一されたメッセージを通じて消費者にアプローチすることで、ターゲットとなる顧客層にブランドの存在や価値がより効果的に伝わり、認知される機会が自然と増えていきます。
その結果、ブランド全体の知名度が向上し、市場での競争力向上につながります。また、一貫したメッセージは顧客の記憶に残りやすく、リピートや口コミといったポジティブな影響も生まれやすくなります。
◉認知の差別化を図れる
競合他社とは異なる独自のブランドメッセージを作成することで、消費者に対して強く印象に残る存在となることができます。また、差別化されたメッセージは、単にブランドの特徴を伝えるだけでなく、そのブランドならではの価値観や理念を明確に示すため、消費者の心に響きやすくなります。
これにより、競争が激しい市場の中でもブランドの個性が際立ち、他社との差別化が効果的に図られます。その結果、ブランドの認知度が向上し、消費者からの選ばれる理由を強化することができます。
◉ブランドイメージが向上する
ブランドメッセージを通じて、ステークホルダーに対してブランドの価値観や理念、コンセプトをわかりやすく丁寧に伝えることができます。これにより、ブランドの持つ独自性や魅力が消費者にしっかりと理解され、ブランドに対する信頼感や好感度が高まります。
結果として、ブランドイメージの向上につながり、消費者の心の中にポジティブな印象を築くことができるため、長期的に安定したブランド価値の確立が期待できます。
◉購買行動を促進する
ブランドメッセージを通じて、消費者に対してブランドの特徴や魅力を具体的かつ分かりやすく伝えることができます。これにより、消費者は商品やサービスに対する理解を深め、その価値をより実感しやすくなります。また、ブランドメッセージによって消費者にとってのメリットや利便性が明確に示されることで、購入を検討する際の重要な判断材料となり、購買意欲の向上につながります。
結果として、ブランドへの関心が高まり、実際の購買行動を促進する効果が期待できるのです。
◉ブランドロイヤルティが向上する
ブランドメッセージを通じて、消費者に対してブランドの価値観や理念、コンセプトを丁寧に伝えることができます。これにより、消費者はブランドに対して深い共感や信頼を抱くようになり、その結果としてブランドに対する忠誠心、すなわちブランドロイヤルティが自然と高まります。
ブランドに強い愛着を持った消費者は、繰り返し商品やサービスを選ぶ傾向が強まり、購入意欲が継続的に向上するため、長期的な顧客関係の構築や安定した売上の確保につながります。
これまでご紹介したさまざまなメリットからも明らかなように、ブランドメッセージをしっかりと作成し明確にすることは、商品やサービスをより多くの人々に知ってもらうための重要な手段であるだけでなく、消費者の購買行動を効果的に促進するためにも欠かせない要素のひとつであると言えます。ブランドメッセージが持つ力によって、消費者の理解や共感が深まり、結果としてブランド全体の価値向上や市場での競争優位性の確立にもつながるため、企業にとって非常に大切な取り組みとなるのです。
ブランドメッセージによるブランディング効果

ブランドメッセージを明確に言語化し、それを基盤としてブランディング活動を強化していくことにより、企業やその商品・サービスに対する消費者の認知度や理解がより一層深まります。加えて、社内外の関係者に対して一貫した価値観や理念を的確に発信できるようになるため、結果として顧客との信頼関係の構築やブランドに対する共感の醸成が促進されます。
また、社員の間でブランドに対する意識の統一が図られ、日々の業務における行動の指針が明確になるなど、組織全体のブランド力向上にも好影響を与えることが期待されます。さらに、こうした明確なブランドメッセージは競合他社との差別化を実現し、ブランドの魅力や独自性を際立たせる役割を果たすため、長期的に見てより強固で価値あるブランドを築き上げることにもつながるのです。
◉価格勝負ではなくブランド力で勝負できる
現代は、インターネットやグローバルな流通網の発達により、世界中どこからでも商品を購入できる環境が整っています。そのため、同じような商品やサービスを提供する競合が世界規模で存在し、価格だけで勝負する価格競争の激化は非常に厳しい状況となっています。 こうした厳しい競争環境の中で、消費者の興味や関心を惹きつける強力なブランドを築き上げることができれば、単なる価格の優位性に頼ることなく、ブランドの価値や魅力によって選ばれる存在になることが可能です。 結果として、価格競争に巻き込まれるリスクを避けつつ、顧客からの信頼や共感を得てリピート購入を促進し、安定的かつ継続的な利益の確保につなげることができます。
◉従業員のモチベーションがアップする
ブランドメッセージを通じて、自社がどのような存在であり、何を目指しているのかという基本的な理念や方向性を改めて社内に伝えることができます。これにより、従業員一人ひとりが企業の価値観を共有し、組織全体としての一体感が生まれます。
その結果、従業員は自社に対する愛着や誇りを感じるようになり、日々の仕事に対してやりがいや充実感を持つことができるようになります。
さらに、こうした共感や意識の高まりは、従業員のモチベーションを向上させるだけでなく、長期間にわたって会社で働き続けたいという思いも育む効果が期待されます。
◉質の高い人材が確保できる
企業のブランド力が高まるにつれて、自然と知名度も向上し、それに伴い求人への応募者数の増加が期待できます。特に企業が持つブランドメッセージだけでなく、採用活動に特化した採用メッセージを戦略的に開発・発信することで、自社が求める理想の人物像や価値観を明確に示すことができます。
これにより、応募者の中から企業の理念や文化に共感し、適性の高い質の良い人材を効率よく獲得することができるようになり、組織全体の人材レベルの向上につながります。
以上のように、ブランドメッセージはブランディングにおいて非常に重要な役割を果たし、多くの効果をもたらすことが明らかです。そのため、ブランドメッセージを開発する際には、まずブランドメッセージの種類やそれぞれの役割を正確に理解し、適切に活用していくことが何よりも重要となります。
ブランドの核となるメッセージを正しく捉え、戦略的に展開することで、ブランドの価値を最大限に高め、長期的に強固なブランドを築き上げていくことができるのです。
ブランディングチーム
パドルデザインカンパニーには、プロジェクト全体を統括するプロデューサーやブランディングディレクターをはじめ、コピーライター、エディトリアルライター、アートディレクター、ブランドデザイナー、Webデザイナー、映像ディレクターなどが在籍し、プロジェクト毎に最適なチーム編成を行うことでブランドを最適解へと導いていきます。
記事制作/プロデューサー
ご相談や課題を受け、実施プランの策定やプロジェクトの大まかなスケジュールなどを策定します。また、プロジェクトのゴール設定やマーケティング環境分析、市場分析などを行い、市場で勝ち抜くブランド戦略提案などを行います。
Producer
CEO 豊田 善治
東京のブランディング会社

パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。
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