組織が一丸となることで、本来の強みが発揮される。

社内に向けたブランディングが、なぜ必要なのか。その定義や効果など、基本知識を解説します。

Introduction

インターナルブランディングの定義

そもそもブランドとは、商品を別の商品と区別するための一連の要素のことをいいます。すべての商品は、ネーミング、デザイン、シンボルマーク、キャッチフレーズなど、多くの要素が複合的に重なりひとつのブランドとして存在しています。そのようなブランドを顧客に認知させ、社会におけるポジションを明確にするさまざまな活動の総称を「ブランディング」といいます。
ブランディング活動には主に顧客向け(エクスターナルブランディング)と社内向け(インターナルブランディング)がありますが、基本的な考え方は同じです。インターナルブランディングは、企業が持つブランドの価値や目指す姿を社内に向けてコミュニケーションしていく手法です。
たとえば、エクスターナルブランディングが機能すると「コーヒーといえば、スターバックス」のように、数ある企業や商品のなかから、顧客はひとつのブランドを頭に浮かべます。また、自分は、その企業のファンであると自覚することもあります。同様にインターナルブランディング活動が機能すると、その企業の従業員は、「自社とは(社会にとって)◎◎な存在である」と認識できるようになります。
さらに「自社の強み、弱み」をもとに、将来のあるべき姿について自らどう行動すべきかを考えたり、企業の成長を自分ごと化して捉えられるようになります。結果、自社に好意や愛着、責任感を持つ可能性が高まります。自社に対してポジティブなイメージを持つ従業員が増えることは、採用活動においても大きな強みになります。このようにインターナルブランディングは、従業員に対して自社を正しく理解させ、好意や愛着を抱かせることで、やがて社会やお客様に選ばれる企業に育てる活動といえます。

インターナルブランディングが流行、その背景。

近年、インターナルブランディングがあらゆる業種の企業で注目を集めるようになりました。その背景のひとつには、従業員の多様化があります。新卒一括採用や終身雇用制度が一般的であった時代は、企業理念を従業員に浸透させるのは比較的容易なことだったのかもしれません。しかし、今の時代は、中途入社の従業員が増えたり、雇用形態や個人の働き方もさまざまです。業務上のコミュニケーション手段も、対面・電話・メール・SNS・テレビ会議など多様化しており、その複雑な環境により、企業理念の共有が難しくなっています。
さらに新型コロナウィルスの蔓延、ニューノーマル時代の到来により、企業内の従業員同士の距離が広がり、オフィスで毎日顔を合わせていたときと比べて「皆が同じ方向を向いている」ということが自覚しにくくなりました。従業員が一丸となることが難しい時代だからこそ、企業の方向性やビジョンの認識をより強固にする必要性が高まっています。
また新型コロナウィルスの蔓延により、市場は大きく変わりました。特に飲食店や小売店でその傾向は顕著となっており、リモートワークや自粛生活により、店舗がオフィス街や観光地の近くにあることが強みではなくなりました。コロナ禍の市場でも選ばれ続けている店は、いち早くテイクアウトやデリバリーを始めるなど変化に対応できたところ、そして「あえてその店で買うことを選ぶ」という常連やファンがいる店・企業です。
新しい支援のかたちとしてクラウドファウンディングも活発化しています。社会や消費者から「応援したい」と思われる企業が生き残るこれからの時代において、強いブランド、そして企業をつくるために、これまで以上にインターナルブランディングが求められています。

インターナルブランディングの目的・効果

インターナルブランディングの目的は、従業員に企業の理念・価値観を共有すること、そして従業員の行動変容を起こすことです。そのために企業の理念やビジョンを言語化し従業員に公表したうえで、ブランドの実現につながる意識形成や、それをもとに従業員が行動に移しやすくなる施策を行います。施策の実施については、インセンティブやペナルティーなどを利用して従業員の行動に結びつける方法が採用されがちですが、その方法は長い目で見るとブランドを体現することにはなりません。
最も重要なポイントは「自分ごと化」です。従業員が自ら意識を変え、行動を変えること。企業が目指す方向と、従業員が目指す方向が揃い、共鳴することではじめて企業目標やブランドの体現が可能になります。「自分たちは、何を大切にしている企業に所属しているのか」「そのために、自分はどのような行動をすべきか」を従業員全員が理解し行動を変えることで、企業のブランド力は内側から強化されていくのです。

インターナルブランディングが特に必要な企業

インターナルブランディングを実施した際、特に効果が出やすいのは、以下のような企業が当てはまると言えます。

●グローバル企業

グローバル企業では、比較的短期間での転職も多く、様々な背景を持つ人材の出入りが頻繁に発生します。そのため、揺らぎがちなブランドを常に確立し続けられれば、競争力向上や離職率の低下にもつながります。

●離職率の高い企業

離職率の高い企業は、採用のミスマッチが起きている可能性があり、インターナルブランディングが効果を発揮する可能性が高いといえます。従業員のモチベーションの低さ、社内風土や評価制度に不満を感じている、入社前のイメージ(採用の過程で伝えられている内容)と入社後の実情との乖離などの改善が期待できます。業務以外の部分での会社の魅力や文化づくりにも役立ちます。

●合併や統合を行った企業

合併や統合を行った場合、従業員の考え方、ルール、常識が相反するものであるケースも少なくありません。インターナルブランディングを行い、ひとつの企業として一丸となって向かうべき方向を示すことで、共通理念の下、モチベーションを高め団結することを目指します。

インターナルブランディングを行うタイミング

今後、企業にとってのニューノーマルとは、ウィルスとの戦いを超えて自社がいかに生き残っていくかを考えることでもあります。自社のブランド力を上げること、優秀な人材の流出を防ぐことは、経営活動においてより一層求められるでしょう。例えばいま、企業のブランドについてエクスターナル(顧客)とインターナル(従業員)で伝えられている内容が異なっていたり、ブランドが実現する価値をエクスターナル(顧客)に対してしか伝えられていない企業は特に、従業員の意志をひとつにするインターナルブランディングを行うタイミングにあります。ブランド力がついてくると、その企業やブランドのファンが増えるだけではなく、さまざまなメリットが現れ、消費者の動向が大きく変わったこれからの社会でも、強い企業となることができます。

●企業に「ブランド力」がつくと

・企業の理念を理解し入社する人材が増え、離職率が減少する。
・従業員のチームワークがよくなる。
・商品・サービスの品質が上がる。
・商品・サービスの売り上げが上がる、企業の認知度が上がる。

インターナルブランディングとエクスターナルブランディングは、表裏一体です。その活動は、顧客に愛され続け、市場で生き残るためのしくみをつくることそのものなのです。

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