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採用と適切な人員配置

recruitment and staffing

採用と適切な人員配置

現実を職務分析することで、
適材適所を実現する。

職務分析と職務評価、要素別点数法の評価項目を学びます。
人的資源管理

企業は、ヒト・モノ・カネ・情報の4つの経営資源(四大経営資源)を活用しながら活動を行いますが、4つの経営資源の中でも最も重要とされるのが「人的資源」です。すべては「ヒト」がいて初めて活用できるものであり、ヒトがモノを使い、ヒトがカネを動かし、ヒトが情報を活かすことで初めて、企業活動を行うことができます。ヒトがいなければすべての企業活動は始まらないことから、企業活動の根幹を支えているのが、この「人的資源」だと言えるのです。
人的資源の持つ多様な能力と可能性を効率的に有効活用することがマネージメント側の責任であり、人的資源を動機付けできるか否かが事業の成果を大きく左右することから、人的資源の要素である「採用・人員配置、評価(人事考課)、報酬、賃金、能力開発」などを正しく理解し、適切な管理・運用を行う必要があります。ここでは、人的資源管理のうち「採用・人員配置」について詳しく解説していきます。

採用・人員配置

企業が最適な人材を採用し、適切な人員配置を行うためには、各部署の具体的な業務内容や、その業務に必要とされる人材の適性やスキルを明確化する必要があります。例えば営業職、技術職、総務職など、職務により求められる適性は大きく異なり、適性がその後のやりがいや成長に大きな影響を及ぼすと言っても過言ではないからです。またスキル面では、資格や経験など、職務に不可欠な職能をあらかじめ明確化する必要があるのは言うまでもありません。これら職務に必要な要件を明確化する方法として「①職能分析」「②職能評価」が広く活用されています。

①職務分析

職務に求められる仕事の内容をアンケート、インタビュー、観察などの方法を用いて洗い出したうえで、職務の遂行に必要な知識や能力、その職務に対する責任の範囲、その職務の遂行に必要な権限、職務の難易度等を明らかにしていきます。職務分析で得た結果は「職務記述書[Job Description](以下参照)」としてまとめられ、職務評価のみならず、採用や配置、昇進・昇格管理、人事考課、職務給の決定、教育訓練の基礎資料として広く活用することができます。

新卒採用では機能しづらい職務記述書[Job Description]

既にスキルや経験を有する人材の採用を行う中途採用においては、この職務記述書[Job Description]が重要な役割を果たすと言える一方、スキルや経験を持たない新卒採用においては一つの指針として扱われ、年間の新卒採用人数に応じて採用された人材を、各部署のニーズに合わせて配置・配分していく手法が多くの企業で行われています。結果、本人の希望や適性などにおいてミスマッチが多発し、厚生労働省が2019年に発表した2016年3月の新規大卒就職者の離職状況によると、新卒採用の30%超が3年以内に離職(厚生労働省2016発表)する事態が生じています。そんな中、2020年にパンデミックを引き起こした新型コロナに起因する緊急事態宣言によりテレワークが急速に普及し、今後の仕事のあり方や評価方法として「ジョブ型雇用」が注目されています。

職務範囲を明確に定義し、より専門性を高め、成果で評価する「ジョブ型雇用」

欧米で主流の「ジョブ型雇用」は、仕事に対して人が割り当てられます。職務や勤務地がジョブ・ディスクリプションにより予め定められており、業務内容は限定的で専門性を必要とします。一方、日本企業の多くが行っている「メンバーシップ型雇用」は、先に人材を採用した後、仕事を割り振るスタイルとなり、ジョブ型雇用とはその目的や役割も大きく異なると言えます。
今後、多くの日本企業が「ジョブ型雇用」を取り入れることで新卒採用におけるミスマッチは大きく改善する可能性があり、職務が細分化され分業となる大規模組織であればあるほど、職務分析が人的資源管理の最適化に高い効果を発揮すると考えられます。

3つの職務分析手法

職務分析にはさまざまなアプローチがありますが、主な方法には、現場にて職務の様子を観察する「(1)観察法」、担当者に担当者に聞き取り調査を行う「(2)面接法」、担当者に職務内容を書き出させる「(3)記述法(質問法)」などがあります。ここでは「観察法」、「面接法」、「記述法(質問法)」の3つの職務分析手法を紹介していきます。

(1)観察法

実際に業務の行われている現場に出向き、仕事内容を観察します。現場での作業が伴う業務であれば観察法で大体の職務分析が可能だと言えます。一方デスクワークの場合、観察するだけでは職務内容を把握しづらいことから、メールやチャットの共有や管理を行うことで職務内容の把握を行っていきます。

(2)面接法

調査・分析担当者が対象者と面接を行い、その場で直接ヒアリングしていく分析手法です。観察だけでは汲み取れない業務や、アンケートだけでは掘り起こせない部分まで深掘りすることができます。一方、調査に多くの手間と時間を要する点が難点だと言えます。

(3)記述法(質問法)

ヒアリングしたい質問項目を準備し、アンケート形式で回答してもらう方法です。観察法、面接法と比較して最も簡単で効率的な調査方法で、細密な質問を準備することでより的確な調査が可能になります。職務分析手法の中でも最も用いられている調査手法だと言えます。

②職務評価

職務分析で調査・分析した情報をもとに、企業内の異なる職務内容に対し「難易度」「責任の程度」「重要度」などの評価を行うのが「職務評価」です。同一法人であっても職務によりその企業内での重要度は異なることから、職務ごとに相対評価を行うことで、その職務の重要度により対価の決定などを決定していきます。
職務評価の代表的な手法には「(1)単純比較法」「(2)分類法」「(3)分類法要素比較法」「(4)要素別点数法」の4つがあり、企業・事業内容などにより自社に適した手法で実施されています。

(1)単純比較法

社内の職務を1対1比較し、職務の大きさが同じか、あるいは異なるのかを評価します。比較の際に、職務を細かく分解せず、全体として捉えて比較することが大切です。

(2)分類法

社内で基準となる職務を選び、詳細な職務分析を行った上で、それを基に「職務レベル定義書」を作ります。「職務レベル定義書」に照らし合わせ、全体として、最も合致する定義はどのレベルかを判断し、職務の大きさを評価します。

(3)分類法要素比較法

あらかじめ定めておいた職務の構成要素別に、レベルの内容を定義します。職務を要素別に分解し、最も合致する定義はどのレベルかを判断することにより、職務の大きさを評価します。分類法のように、職務全体として判断するよりも、客観的な評価が可能です。

(4)要素別点数法

要素比較法と同様に、職務の大きさを、構成要素別に、評価する方法です。評価結果を、要素比較法のようにレベルの違いで表すのではなく、ポイント数の違いで表すのが特徴です。要素別に、レベルに応じたポイント数を付け、その総計ポイントで職務の大きさを評価します。

要素別点数法の評価項目

前記(1)〜(4)のうち、(4)の要素別点数方は最も合理的な評価ができそうな手法だと言えます。厚生労働省の公布する資料「要素別点数法による職務評価の実施ガイドライン」では、評価項目の一例として以下の8項目をあげています。また、学習院大学「GEM Pay System」では5段階の評価スケールを以下のようにあげています。

●人材代替性:採用や配置転換によって代わりの人材を探すのが難しい仕事

[5] 採用や配置転換による代替人材の確保が不可能な仕事
[4] 採用や配置転換による代替人材の確保が非常に難しい仕事
[3] 採用や配置転換による代替人材の確保が難しい仕事
[2] 採用や配置転換による代替人材の確保が容易な仕事
[1] 採用や配置転換による代替人材の確保が非常に容易な仕事

●革新性:現在の方法とは全く異なる新しい方法が求められる仕事

[5] 現在の手法と全く異なるものが求められる仕事
[4] 現在の手法を参考程度にしながら、異なるものが求められる仕事
[3] 現在の手法をある程度活用できる仕事
[2] 現在の手法をかなりそのまま活用できる仕事
[1] 現在の手法をそのまま活用できる仕事

●専門性:仕事を進める上で特殊なスキルや技能が必要な仕事

[5] 担当分野において専門性が必要とされ、かつその周辺分野においても高い専門性が必要とされる仕事
[4] 担当分野において専門性が必要とされ、かつその周辺分野においても平均的な専門性が必要とされる仕事
[3] 担当分野において高い専門性が必要とされる仕事
[2] 担当分野において平均的な専門性が必要とされる仕事
[1] それほど専門性が必要とされない仕事

●裁量性:従業員の裁量に任せる仕事

[5] 自由裁量を行使した結果が、企業全体に影響を与える仕事
[4] 自由裁量を行使した結果が、当該部門全体に影響を与える仕事
[3] 自由裁量を行使した結果が、当該部門の一部に影響を与える仕事
[2] 自由裁量を行使した結果が、本人のみに影響を与える仕事
[1] 原則として自由裁量のない仕事

●対人関係の複雑さ(部門外/社外):仕事を行う上で、社外の取引先や顧客、部門外との調整が多い仕事

[5] 部門外・社外との交渉・折衝業務が非常に多い仕事
[4] 部門外・社外との交渉・折衝業務が多い仕事
[3] 部門外・社外との交渉・折衝業務がやや多い仕事
[2] 部門外・社外との交渉・折衝業務が少ない仕事
[1] 部門外・社外との交渉・折衝業務がない仕事

●対人関係の複雑さ(部門内):仕事を進める上で、部門内の人材との調整が多い仕事

[5] 部門内との調整作業が非常に多い仕事
[4] 部門内との調整作業が多い仕事
[3] 部門内との調整作業がやや多い仕事
[2] 部門内との調整作業が少ない仕事
[1] 部門内との調整作業がない仕事

●職務に関する課題を調査・抽出し、解決につなげる仕事

[5] 最初から新しい方法を用いなければ解決できない仕事
[4] 既存の方法を参考にしつつも、新しい方法を用いなければ解決できないことが多い仕事
[3] 既存の方法を大きくアレンジすることで解決できることが多い仕事
[2] 既存の方法を少しだけアレンジすることで解決できることが多い仕事
[1] 既存の方法で解決できることが多い仕事

●経営への影響:会社全体への業績に大きく影響する仕事

[5] 経営への影響度が非常に大きな仕事
[4] 経営への影響度が大きな仕事
[3] 経営への影響度がやや大きな仕事
[2] 経営への影響度が軽微な仕事
[1] 経営への影響度が非常に軽微な仕事

詳細は厚生労働省「パート・有機労働ポータルサイト」でも確認できます。

https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/estimation/method/

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