集団の団結力は、個人の意思に影響する。

意思決定に影響を及ぼす「グループダイナミクス」と「グループシンク」を学びます。

Introduction

集団での思考 グループダイナミクス

グループダイナミクスとは、集団構造の中で発生する人々の思考や行動を指しており、ドイツの心理学者クルト・レヴィン(Kurt Zadek Lewin)により研究された集団力学です。人の行動や思考は集団から影響を受け、逆に集団に対しても影響を与えるとされており、人が集団になったときには個人がそれぞれに考え・行動するのではなく、集団から生じる圧力に影響を受け、思考や行動が決定していきます。集団圧力の大きさは、集団疑似性(集団の団結力)が高まると増す傾向があり、また、自分と同意見が少なくなるほど集団圧力の影響が高まり、斉一性の圧力(集団の意見に同調するよう働きかける集団圧力)の影響を受け意思決定されていきます。

集団疑似性(集団の団結力)を形成する要因

グループダイナミクスに影響を与える集団疑似性(集団の団結力)ですが、この集団疑似性はどのような要因から形成されているのでしょうか。企業における集団疑似性には主に以下の要因が考えられると言えます。

◉共通のミッション(任務や使命)があること
◉共通のビジョン(目標)があること
◉共通のバリュー(価値観)を持っていること
◉集団が小規模であること
◉メンバーの入れ替わりが少ないこと
◉経験を共有している時間(期間)の長さ

企業・組織では、集団疑似性を形成する要因を念頭に、どのような目標設定を行えば集団を形成する各個人が互いに協力して目標達成を図れるかを計画しなければなりません。また、どのようなタイプのリーダーであれば、メンバーが協力的かつ積極的に行動できるのかを考え、チーム編成を行わなくてはなりません。

集団疑似性とグループシンク

グループシンク(集団浅慮)とは、合意に至ろうとするプレッシャーから、集団において物事を多様な視点から評価する能力が欠落する傾向を指しています。集団疑似性(集団の団結力)の強さに影響を受けるだけでなく、外部との隔絶や支配的なリーダーの存在によりグループシンクが起こりやすくなります。集団がグループシンクに陥ると極端な意思決定(グループシフト)が行われることがあり、その要因は集団により責任が分散されることにあると言われています。
グループシフトを避けるためには異なった意見を十分に受け入れ、建設的な批判を重視し、冷静な判断力を持って選択肢の検討に十分な時間をかけていく必要があると言えます。

●リスキーシフト

リスキーシフトとは、一人だと慎重かつ理性的な行動を取れる人間が、グループシンク(集団浅慮)により、よりリスクの高い意思決定に加担してしまう現象を指しています。集団により責任が分散されることによる意識の欠如と言われており、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という言葉がまさにリスキーシフトを的確に表現しています。

●コーシャスシフト

コーシャスシフトとは、リスキーシフトとは相反する現象で、一人だと大胆な行動を取れる人間が、グループシンク(集団浅慮)により、より慎重な方向の意思決定に加担してしまう現象を指しています。集団を形成する各個人の安全志向が強い場合に生じやすくなる現象です。

集団疑似性(集団の団結力)と業績

業績に直接関係しそうもない集団疑似勢(集団の団結力)ですが、実は業績にも多大な影響を与えます。なかでも最も大きな影響を及ぼすのが、集団に課せられた組織の目標に対し、集団が理解・納得している(整合性が取れている)か否かであると言えます。整合性が取れている場合、グループシンクの影響により社員に積極的な行動を促すことで業績はプラスに働きますが、逆に整合性が取れていない場合はマイナスに働きます。

集団疑似性(集団の団結力)とコミュニケーション

集団疑似性が高いほどコミュニケーションは活発になります。また、グループシンクに影響を受けない逸脱者に対しても積極的なコミュニケーションを図ろうと行動するため組織は活性化していきます。ただし、逸脱者へのコミュニケーションは一定量までとなり、逸脱者に変化が見られない場合、時間と共にコミュニケーションは現象し、最終的にはコミュニケーションが図られない「村八分」の状態が生まれます。企業・組織は建設的な批評こそ重要視しなければ、いずれ慢心に陥ると言えることから、村八分が生じないよう十分な配慮を行なって行かなければなりません。

集団間のコンフリクト(対立や軋轢)

コンフリクトとは、相反する意見や態度、要求などが存在し、互いに譲らない緊張状態が生じることを指しています。集団疑似性(集団の団結力)が強い場合、他の集団に対し排他的になる傾向があることから、コンフリクトが生じやすくなり、いかなる組織においてもコンフリクトは避けられないと言えます。
しかしコンフリクトは、必ずしもマイナスであるとは言えません。互いに議論し、考え、意見交換することで相手への理解が深まるほか、競争することで意欲が高まり、その過程において当初のアイデアが発展する、または新たな課題を発見する、さらには新たな視点から新しいアイデアが生まれるなども珍しくありません。

《関連するサービス》

企業ブランディング
採用ブランディング
周年事業ブランディング
ブランドコンサルティング

《関連する実績紹介》

ブランディング実績
CI開発実績