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企業文化の形成要因とその重要性

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企業文化の形成要因とその重要性

今日の判断が、
明日の文化になる。

企業文化のメリットと形成要因・構成要素を学びます。
企業文化の形成要因とその重要性

企業文化とは、企業の構成メンバー間で共有された価値や信念、思考様式や行動規範など、企業内に根付く文化のこと。企業運営において集団の中で培われた価値観であり、各メンバーが相互作用しながら形成され、企業と社員の間で共有されていくことから、企業経営や事業活動においてあらゆるシーンで影響を与える企業文化は、とても重要であると言えます。時には、強いリーダーシップを持つ経営者や創業者の考え方や生き方、メッセージや個性が企業内に語り継がれ、企業文化に大きな影響を与えることもあります。

一方、企業文化は「可視化しづらい」「外部組織の影響や自社組織の状況で変化する可能性がある」など、具現化が容易ではない特徴があるため、メンバー間でのばらつきに大きく差が生じることが難点として挙げられます。そうした特徴のある企業文化ですが、社員の言動が外部の企業イメージに直結し、企業活動に多大な影響を及ぼすことから、いかにしてメンバー間のばらつきを小さく留めるかが重要なポイントとなります。

●企業文化と企業風土の違い

「企業文化」との類義語に「企業風土」や「社風」があり、企業内部における社員の性質や人間関係の表現として、ほぼ同様の意味合いで使用されていますが、実は少しずつニュアンスが異なると言えます。企業・事業の成長に不可欠とされる「企業文化」や「企業風土」や「社風」。まずはこれら表現の違いを明確に知ることから、企業文化を紐解いていきたいと思います。

➡︎企業文化の定義
企業文化とは、「従業員間で共通認識されている信念や前提条件、または社内ルール」を指しています。「文化」の持つ元々の意味は「世の中が開けて、生活水準が高まっている状態」「人類の理想を実現していく、精神の活動。技術を通して人間の生活目的に役立てていく過程で形作られた生活様式、及びそれに関する表現」などになります。これを人間に置き換えると、「行動原理となる価値観」などが当てはまると考えられることから、企業・組織内での経験により変化しながら形成され、成長していくものであると言えます。企業風土が外部の影響を受けにくい性質を持つのに対し、企業文化は外部の影響を受け変化・成長していく点に大きな違いがあると言えます。さらにこれを企業に置き換えて考えると、企業文化とは
「組織体制や教育制度」などが該当し、主には「仕事の価値観」など、社員の就業姿勢に多大な影響を与える要因が当てはまると考えることができます。

➡︎企業風土の定義
企業風土とは、「従業員間で共通認識される、独自の規則や価値観など」を指しています。「風土」の持つ元々の意味は「その土地の気候・地質・景観などに見られる(住民の生活や文化に深く働きかけるものとしての)環境」「人間の文化の形成などに影響を及ぼす精神的な環境」などになります。これを人間に置き換えると、長年培ってきた「性格や気質、そして考え方や癖」などが当てはまると考えられることから、外部の影響などで変化させるのは容易ではないと言えます。さらにこれを企業に置き換えて考えると、企業風土とは「企業の基本的な考え方や指針」などが該当し、主には「評価制度」など、社員の環境に多大な影響を与える要因が当てはまると考えることができます。

➡︎社風の定義
社風とは、「社員が感じるその会社の雰囲気や特徴」を指しています。企業・組織内での人間関係による労働環境や空気感など、感覚的な要素が強くなると言えます。これを人間に置き換えると、「人柄」などが当てはまると考えられ、さらにこれを企業に置き換えて考えると、社風とは「企業・組織内の人たちが持つ雰囲気」などが該当すると言えます。前記した通り感覚的な表現となりますが「明るい、穏やか、元気、仲良さそう」などが挙げられます。

企業文化の形成要因

企業文化を浸透させ、揺るぎない企業文化を形成するためには、価値や信念、思考様式や行動規範など、メンバーの企業理解度を深め、メンバー間でのばらつきを最小限に留めなくてはなりません。企業文化の形成に関わる要因には、近接性、同質性、情報の遍在性、帰属意識などがあり、これらの要因を強めていくことで、強い企業文化を形成しやすくなると言えます。

◉近接性

近接性とは、近づきやすさを示す概念で、メンバー同士が物理的に近くにいる度合いを指しています。メンバー同士が同じ空間を共有し、どの程度接するかにより考え方の共通化や相互理解が促進されることから、近接性が高いほど企業文化は形成されやすいと言えます。テレワークやリモートワークが進む現代において、いかにして近接性を高めていくのかが課題となります。

◉同質性

同質性とは、二つ以上ものの質が同じであることを示す概念で、メンバー同士の性質や特性が似ている度合いを指しています。この「質」は、それぞれが有する「個性」や「基本的な考え方」と捉えることがでることから企業は、自社にあった同質性を持つ人材を採用することで企業文化は形成されやすくなると言えます。価値観の多様化する現代において、いかにして同質性を高めていくのかが課題となります。

◉相互性

相互性とは、相互関係がある性質、または相互に作用があるような状態を表しており、特に、相互に他を補うような関係性を示す概念で、仕事の相互依存度を指しています。日常業務において相互関係を必要とすればするほど、調整の必要性から考え方などの共通化が生じてくると言えます。技術職と営業職、管理職と技能職など、立場の異なるメンバー同士のコミュニケーションをいかにして図るかが課題となります。

◉情報の遍在性

偏在性とは、広くあちこちに行き渡って存在することを示す概念で、情報が1箇所に集中せず、広く満遍なく行き渡っていることの度合いを指しています。情報は人から人へ、またはネットワークを介して拡散していくことから、どのようなコミュニケーション・ネットワークを持つかが強く影響を及ぼします。いかにして社内のコミュニケーション・ネットワークを築くかが課題となります。

◉帰属意識

帰属意識とは、自分が属している集団の一員であるという意識のことで、愛社精神とも言い換えることができます。会社が自分のことを大切にしてくれている、会社のメンバーとの良好な人間関係が保てているなど、主に人間関係が強く影響を及ぼします。社内イベントなどの行事を共有することで帰属意識を高めることができると言えます。

企業文化形成のメリットとデメリット

企業文化は可視化しづらい故に、そのメリットやデメリットが理解しづらいものであると言えますが、企業文化が形成されていることで、社員共通の指針として日常業務のあらゆるシーンにおいて機能することから、多大なメリットがあると言えます。一方、悪しき企業文化はマイナスに働き悪循環を及ぼす可能性もあることから注意が必要です。ここでは、企業文化が及ぼす具体的なメリットとデメリットを上げていきます。

●企業文化形成のメリット①:チームワーク強化

多くの企業が成長過程において「意思疎通」や「チームワーク」に課題を抱えています。これは、社員数が増え、業務そのものや部署が多様化することで情報共有が行き渡らなくなることから生じる、コミュニケーション不足による要因が多くを占めていると言えます。そこに明確な企業文化があれば、社員は企業文化に基づく判断基準を共有し、同じ目標に邁進できることから、たとえ人数が多くとも一体感のある強い組織形成を図ることができます。また、同じ目標を有することで社員間の情報共有やコミュニケーションが活性化し、チームワークの強化を生み出すことができます。

●企業文化形成のメリット②:パフォーマンス向上

「企業として何を重視するべきか」の指針が企業文化として根付いていることで、日常業務における判断が迅速化するばかりでなく、社員の自発的行動の促進につながると言えます。また、「常に挑戦する企業文化」が根づく組織では、課題に対し常に挑戦する姿勢での言動やアイデア提起が行われ、「保守的な企業文化」が根づく組織では、課題に対し常に保守的な言動が為される傾向があると言えます。いずれにせよ、「会社のために何ができるか」をそれぞれが考え、迅速に判断・行動し、組織の活性化とパフォーマンス向上を図るには、企業文化は不可欠であると言えます。

●企業文化形成のメリット③:離職率の低下

ポジティブな企業文化が浸透し、企業の運営方針と社員の意思疎通が図れている組織であればあるほど社員のモチベーションが高いと言えます。またそうした社員は仕事への不満も少ないため、退職しにくい傾向があると言えます。ポジティブな企業文化の浸透した組織では、社内の議論も活発な傾向があり、他社との差別化に向けた様々な取り組みが円滑に進むことから社内も活性化します。それにより、優秀な人材の定着率も向上すると言えます。そして、優秀な人材の定着は企業の成長に相関することから、ポジティブな企業文化は企業の成長を促すと言っても過言ではありません。

●企業文化形成のデメリット

一方、企業文化の浸透がデメリットを生じるケースも考えられます。あくまでもネガティブな企業文化の浸透が要因となりますが、代表的なケースでは「前例や従来の思考に捉われるばかり、イノベーションが起こりにくくなる」、「企業文化が合わない人、企業文化に捉われない新たしい発想を持った人材が排除されてしまう」などが挙げられます。企業文化はあくまでも「改善」に向けたポジティブな文化であるべきことを念頭に、企業文化に捉われすぎず、状況に応じた柔軟な対応を行うことが大切です。

企業文化の構成要素

ここまで解析してきた通り、企業文化は一朝一夕には成り立たず、多くの要因と積み上げてきた時間により形成されていきますが、最後に企業文化を形成する5つの構成要素を詳しく紹介していきます。

●企業文化の構成要素①:ミッション(企業が果たすべき使命)

企業におけるミッションとは、「企業が果たすべき使命」であり、「存在意義」を指しています。企業は社会に対し、果たすべき役割を持ち組織されており、事業を通し何を成し遂げたいのか、社会にどのような影響を与えていくのか、またどのような価値を提供していくのかを示さなくてはなりません。ミッションは、社内へのメッセージ性が高く、社員の意思形成にも多大な影響を及ぼすことから、企業文化の構成要素の中で最も重要であると言えます。

●企業文化の構成要素②:ビジョン(企業の目標)

企業におけるビジョンとは、ミッションを成し遂げた先にある「実現したい未来」を指しています。存在意義という普遍的な定義を有するミッションに対し、ビジョンは中長期的な視点で定める将来像であるため、変則的であるとも言えます。多くの企業で定められているビジョンですが、企業文化の形成に寄与しづらい、曖昧で複雑なビジョンが定義されているケースが多く見受けられます。ビジョン策定において大切なのは、すべてのステークホルダーに簡潔で明確かつ魅力的に伝わること。この1点に留意して、機能するビジョンを策定することが大切です。

●企業文化の構成要素③:バリュー(社員に求める価値観)

企業におけるバリューとは、組織にとって「何が重要か」を示す評価基準を指しています。バリューは、企業にとって重要な判断基準や考え方の指針を示しているため、ビジョン達成までのプロセス(日常業務)に多大な影響を及ぼすと言えます。このことからバリューは、社員全員が理解しやすく明確かつ具体的な言葉として、共感できるメッセージを掲げることが大切です。

●企業分野の構成要素④:人材

策定した企業のミッション、バリューを実行し、ビジョン達成に向け活躍するのは、自社で働いてくれる社員に他なりません。また、ミッション、ビジョン、バリューに共感し、日夜尽力してくれる社員がいてこそ企業文化は形成されると言えます。企業経営・運営にとって最も重要なのは人材であることを理解し、人材を大切にすることが企業文化形成の第一歩であると言えます。

●企業文化の構成要素⑤:立地

地域・地区にはそれぞれ文化・風土が根付いていると言えます。東京では、ファッションのトレンドやクオリティの高いデザイン性が地域ブランドとして根づく「南青山」、高層ビルが立ち並び、あらゆる大手企業が集結する「丸の内」、先進的なIT企業が集結する「渋谷」などが挙げられます。どこにオフィスを構えるかは、どのような企業文化を形成したいのかに直結すると言っても過言ではないため、場所選びも重要な要素の一つであると言えます。

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