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流通戦略

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流通戦略

流通ルートの選定は、
販売ルールの策定でもある。

消費者に商品を届けるための戦略「流通戦略」を学びます。
商品を届けるための戦略「流通戦略」

メーカーとユーザーを結ぶのが流通チャネル(流通業者)です。いくら素晴らしい製品を魅力的な価格で供給しても、その製品がユーザーの目にふれなければ購入される機会を得ることができないことから、流通チャネルの構築は製品販売に不可欠であることがわかります。近年ではインターネットによるメーカー直売の流通戦略を行う企業も多くなりましたが、流通チャネルを介して製品を市場に供給するのが一般的です。流通チャネルは、企業独自の販売網やサービス機関の他、卸売業者、販売代理店、小売業者などの外部組織によって成り立っており、製品販売における中核的な役割を担っています。

●内部部門か外部組織か、2種類の流通チャネル

流通チャネルは、自社独自の営業部門やサービス機関に加え、卸売業者・販売代理店・小売店などの外部流通組織によって成り立っています。流通チャネルは、メーカーから顧客の手元に届くまでの物流パイプラインを担っており、流通の中心的役割を果たしています。近年ではインターネットによるメーカー直売の流通戦略を行う企業も多くなりましたが、流通業者を介すことで流通経路が合理化され、メーカー・顧客の双方に流通コスト削減による様々なメリットをもたらします。


➡︎自社営業部門
自社営業部門は、流通チャネルのなかでも特に重要な位置にあり、多様な役割を果たします。既存顧客への対応はもちろん、自社製品の普及活動による潜在顧客の掘り起しや、クレーム対応、アフターフォローなどの役割も担います。その他、流通業者の在庫管理や、製品技術・販売技術の教育など、販売に関する全面的なフォローを行います。

➡︎外部流通組織
卸売業者・販売代理店・小売店などの外部流通組織は、メーカーや上位の流通業者から仕入れた製品を販売することで利益を生み出していきますが、その大半は地場業者であり、自社の市場に合せた独自の販売スタイルで行なっています。メーカーは自社製品の販売促進を目的に、流通業者に対し自社製品の販売に合ったトレーニングを行う他、新製品情報の提供や販促ツールの支給など、売り上げアップの為の様々な支援を行います。

➡︎卸売業者
メーカーが卸売業者に求める最大の機能は流通の合理化(効率化)です。製品の買い手が増えるにつれて、メーカーと小売業者の取引は加速度的に増し、メーカーだけでは対応しきれないことから、卸売業者はメーカーと地域小売店の間に介在し、製品を効率よく流通チャネルに届ける役割を担います。また卸売業者は、在庫管理や技術支援を行うことで小売業者との信頼関係を築くだけでなく、全面的な営業支援を行うことも珍しくありません。

➡︎小売業者
メーカーが小売店に求める最大の機能は集客機能(集客力)です。集客機能(集客力)が優れていれば製品販売の機会も増え、メーカーは小売店に対し、より良い条件で製品を供給することができるようになり、製品の好循環を促すことができます。顧客が製品を求める際、まず思い浮かぶ購入先が小売店であり、なかでも大型店のように在庫を豊富に抱えている店舗であることが想像に難くないことから、小売店のなかでも大型店はメーカーに対して強い影響力を持つことがあります。また、競合製品が並ぶ中、いかにして自社製品を目立つ場所に陳列してもらい、棚面積を確保できるかが製品の売れ行きに多大な影響することから、小売業者との信頼関係構築がいかに重要であるかが分かります。

商品供給範囲に影響を及ぼすチャネルの長さ(段階別チャネル)

段階別流通チャネルとは、「直販」「一次販売店」「二次販売店」などの段階を表しています。何段階の流通チャネルを用いるかは、業界や製品の特性によるところが大きく影響し、「消費者の数が増え、消費者ニーズが多様化すればするほど、メーカーが独自に製品を流通させるのが難しくなる」と言われています。また、製品がコモディティ化するほど、間に入る流通業者が多くなると一般的には言われています。

●「ゼロ段階」チャネル

いわゆる「直販」にあたり、メーカーが直接顧客に製品販売を行います。近年ではインターネットの普及により加速度的にゼロ段階チャネルが増加していますが、主な例として、不動産の建売販売や、ブランド品販売など、高価格帯製品を取り扱うビジネスにあてはまります。その他、訪問販売ビジネスを行うポーラ化粧品やアザレ化粧品なども直販にあたります。

●「2段階、3段階」チャネル

メーカー・小売業者ともに好都合なのが2段階チャネルで、消費財の流通チャネルに最も多くみられます。出来るだけ多く消費者の目にふれることが売り上げ増加につながる消費財の最寄品は、不特定多数の小売店に少量販売することで消費者ニーズを満たし、機会損失を防ぎます。また小売店は、卸売業者が介在することで迅速な在庫補充が可能となり、欠品による客離れを防ぐことができます。 その他、農産物や海産物などは3段階チャネルが多く、生産者⇒仲買業者⇒卸売業者⇒小売店を介してようやく消費者に製品が届けられていましたが、近年ではインターネットを介した0段階・1段階チャネルや、大型量販店による2段階チャネルが台頭し、人気を博しています。

概念にとらわれない3つのチャネル

流通チャネルの概念にとらわれないチャネルも存在します。代表的な例として「フランチャイズ方式」「ライセンス方式」「マルチレベル方式」などが挙げられます。メーカーやサービス提供元はリスクを抑えて事業展開できるメリットがあり、事業運営側はノウハウや商標を一から構築する必要がなく、認知されたブランドを使用し、いち早くビジネス展開ができるメリットがあります。

●フランチャイズ方式

フランチャイズ方式とは、フランチャイザー(ビジネス・システム提供元)がフランチャイジー(フランチャイザーから提供を受ける事業者)にシステム、ノウハウ、商標使用権などの全てを提供し、運営サポートを行う見返りにロイヤリティを受けるビジネスモデルを指しています。フランチャイザーは、他者の経営資源を活用して事業規模を拡大できるといったメリットがあり、フランチャイジーはノウハウや商標を受けることで、いちからビジネスモデルを確立する労力なく、リスクを抑えて事業を開始できるメリットがあり、互いのニーズを補い合うことができます。

●ライセンス方式

ライセンス方式とは、自社の持つブランドやキャラクターの使用権を貸与し、商品の生産・販売をさせることで売上に応じたロイヤリティを受けるビジネスモデルを指しています。ライセンス方式を採用している代表的な例として、人気キャラクターを有する「ディズニー」や「サンリオ」、人気漫画の「ドラえもん」や「北斗の拳」などがあげられます。

●マルチレベル方式

マルチレベル方式とは、メーカーが流通業者を介さず、消費者のネットワークを活用し商品の普及を行うビジネスモデルを指しています。親となる消費者は、子となる会員を増やし、子となった会員がさらに子を増やすことで雪だるま式に売上が向上し、それに伴うバックマージンが増加します。店舗を構える必要が無く、商品陳列スペースの確保も必要としないマルチレベル方式は、低リスク・ハイリターンであるといえますが、消費者のネットワークを活用するビジネスモデルだけに、製品の普及には多大な時間を要する同時に、詐欺まがいの勧誘から消費者間のトラブルも後を絶ちません。

シェア獲得に影響を及ぼすチャネルの幅

流通チャネルには、段階別チャネルにあげられるチャネルの長さの他、チャネルの幅の選択が必要となります。チャネルの幅が広くなればなるほど、商品供給は加速する一方、コントロールが困難になる点が課題となります。流通チャネルの幅は、幅の広さにより大きく以下の3つに分けて考えられています。

●開放的流通政策

開放的流通政策とは、自社製品の販売先を限定せず、広範囲にわたり開放的に製品を流通させる政策です。流通の幅を広げることで、加速度的に一気にシェア拡大をできるメリットがある一方、流通業者が多岐にわたることからチャネルのコントロールが難しくなり、販売管理の複雑さが増すデメリットが生じます。また、同じ製品を流通業者間で販売競争させる結果を生み出すことから、価格競争が生じ、ブランド力の低下や製品のイメージダウンにつながる可能性が高くなります。このことから、開放的流通政策は、高級品の専門品には不向きであり、薄利多売型の消耗品に向いている政策であると言えます。

●選択的流通政策

選択的流通政策とは、流通業者の販売力、資金力、協力度合い、競合製品の取り扱い状況などに応じて、流通チャネルを選定する政策です。流通業者を一定範囲に限定することで、チャネルのコントロールがしやすくなるメリットがある一方、開放的流通政策と比較するとシェア拡大に時間を要するデメリットが生じます。適切な流通業者を選定することで、理想とするシェア拡大速度や、ブランド維持を図ることも可能なことから、流通パートナー選定が重要な鍵を握りると言えます。

●排他的流通政策

排他的流通政策とは、特定の地域や製品の販売先に独占販売権を与える政策で、一般的に代理店呼ばれる特約店を設ける政策です。流通業者を専任業社に特定することでチャネルのコントロールがしやすく、販売管理が容易になるメリットがある一方、チャネル維持コストが大きくなる点や、流通チャネルがメーカーに依存し、主体的に販売しなくなる傾向があるなど、メーカー側の負担が大きくなるデメリットが生じます。

流通チャネルの多様化

流通チャネルには製品ライフサイクルと同様にライフサイクルが存在し、新チャネルの登場により従来の流通チャネルが衰退する可能性を秘めています。代表的な例がインターネット販売による0段階・1段階チャネルで、消費者ニーズにマッチした製品構成で高品質・低価格を打ち出すことで急激に人気が高まっており、3段階以降の流通業者は多大な影響を受けています。 このことから分かる通り、ひとつの流通チャネルに対する過度な依存は、売上低下につながるばかりでなく、経営自体を揺るがしかねません。流通業者への卸売り、インターネットでの直販、直営店舗での販売など、自社の経営資源に合わせ流通チャネルを多様化し、セグメント別に活用していくことが大切です。

●流通チャネルの見直し

流通戦略は、市場環境(人口動態、競合状況、顧客の購入ニーズ、ブランド力など)の変化に合わせて柔軟に変更して行かなければなりませんが、一旦構築してしまった流通チャネルの変更は容易ではないことから、新規流通チャネル構築時には、目標とするポジションを見据えた入念な流通戦略計画が不可欠です。また、製品ライフスタイルで市場のニーズも大きく変化することから、中長期を見越しての流通戦略計画を策定しなければならないことを忘れてはなりません。

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