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継続企業と最終目標

continuation and goal

継続企業と最終目標

永続するために、
異族に譲渡する。

継続企業を前提としたリスク開示制度と、
企業経営の最終目標を学びます。
重要な問題の開示 ゴーイング・コンサーン

ゴーイング・コンサーン(継続企業の前提)は、監査人が監査先の企業が存続するかについて、意見の表明を行うリスク開示制度です。財務諸表は、企業活動が無限に続くことを前提に各種制度の論理が構築されていることから、経営者は、起算日から少なくとも1年以内に重要な問題がある場合、そのリスクの詳細とその対応策を決算書に注記として記載しなければなりません。上場企業においては2003年3月期より開示が義務づけられました。これにより投資家は、自らの判断で危機回避をすることができるようになりました。

●ゴーイング・コンサーン注記とは

前記の通り、継続企業の前提に重要な疑義がある場合はゴーイング・コンサーン注記をしなければなりません。会計基準上では、以下4つの内容を記載しなければならないとされています。

・継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する旨及びその内容
・当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策
・重要な不確実性が認められる旨及びその理由
・財務諸表は継続企業を前提として作成されており、当該重要な不確実性の影響を財務諸表に反映していない旨

前記の通り、これらの継続事業の前提に重要な問題がある場合、これら疑義がある事象について解消または改善に向けた方策を記載しなければなりません。日本の上場企業の大半は問題がなく、注記に対し「当該事項はありません」と記載されています。

では、ゴーイング・コンサーン注記が記載されるとどのような影響があるのか。最も考えられる影響は、投資リスクが生じることにより、投資家離れが生じ、株価の下落は免れません。また、この注記がついていることでビッグ4と呼ばれる大手監査法人(EY新日本有限責任監査法人、有限責任あずさ監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwCあらた有限責任監査法人)では、基本的に監査を引き受けなくなります。このことから、中小監査法人でゴーイング・コンサーン注記ありでも監査してくれる監査法人を新たに探さなければならなくなり、監査報酬も高額になる傾向があります。このように、ゴーイング・コンサーン注記は重要な意味合いを持っています。最悪、上場廃止や取引中止などから財務状況が悪化し、倒産する可能性さえあるのです。

企業経営の最終目標

ゴーイング・コンサーン(継続企業の前提)のために企業は、様々な経営戦略や事業戦略を実施し、健全な企業経営を維持し続けていきますが、企業は単体では活動することができず、社会、政治、経済、環境などの変化により経営環境の悪化から業績不振に陥る場合があります。また、中小企業の場合、株主と経営者が同一であることも多く、高齢化により企業存続が危ぶまれるケースも後を絶ちません。そうした有事の際に講じられる危機回避策の代表例として、事業再生、リストラチャリング、事業承継が挙げられます。

●事業再生

事業再生とは、「有用な経営資源を有しながらも、過大な債務を負っている事業者について、債務を整理するなど、財務の再構築を図るとともに、抜本的な事業の見直しや再構築によって、十分な事業利益の確保を図ることにより、事業が競争力を回復し、持続可能になるように図ること。」とされています。
要約すると、企業が倒産の危機に陥った際、企業を精算するのではなく、債務の一部免除や債務返済スケジュールの見直しを行いながら、収益力・競争力のある事業を再構築することを指しており、ターンアラウンド(方向転換)とも呼ばれています。

●リストラチャリング

リストラチャリングとは、事業構造の再構築を指しています。企業構造には、事業構造、財務構造、組織構造、経営組織、人事構造などがあり、それらを一つひとつ見直すことで事業の抜本的な事業改善を図ります。多くの場合、不採算部門の縮小・撤退、事業所の統合・閉鎖、本社・事業部・工場の分離・分社化などの手段がとられるとともに、成長事業や高収益事業に経営資源を集中投下することで事業構造を再構築していきます。
日本では「リストラ」と省略し、主に人員削減や事業縮小など、ネガティブな意味として使用されることが多くありますが、本来の意味は、企業が継続発展を図るために行う「事業構造の再構築を」意味しています。

●事業承継

事業承継とは、会社の経営権や理念、資産、負債など、事業に関する全ての権利を次の経営者に引き継ぐことを指しています。一般的には、閉鎖会社(※1)や同族会社(※2)など、中小企業のオーナー社長が後継者に事業を継承することを指しており、相続財産の評価などの相続対策と後継者の育成など、会社の存続と発展が課題となります。
中小企業は株主と経営者が実質的に一致していることが多いため、事業承継の際は株式の移行も不可欠となります。日本では、後継者を親族内から選考する親族内承継が多く行われてきましたが、後継者不在または子どもが事業承継を拒否するなど後継者不在となる会社が後を絶たず、社会問題となっています。その際、注目されているのが親族以外の第三者へ事業承継させるM&A(Mergers(合併)and Acquisitions(買収))であり、誰に所有権を移転するのかにより次の3つの分類があります。

※1.閉鎖会社とは、少数の株主によりその株式が保有され、その株式が市場において流通していない法人格を指しています。株式を市場で後悔する公開会社の対比として使用される概念ですが、法律上の定義はありません。

※2.同族会社とは、会社の株式、または出資金額の一定割合以上を同族関係者が所有している法人格を指しています。法律上では、株主の3人以下およびこれらと特殊の関係にある個人および法人の有する株式総数または出資金額の合計が、その会社の発行済み株式総数または出資金額の5割以上に相当する会社を同族会社と定めています。

①MBO(Management Buyout:経営陣買収)

MBOとは、株主の保有する株式を、会社経営陣(役員)に譲渡し、会社の所有権と経営権を移転させることで、オーナー経営者として独立する行為です。

②EBO(Employee Buyout:従業員買収)

EBOとは、株主の保有する株式を、会社の従業員に譲渡し、会社の所有権と経営権を移転させることで、オーナー経営者として独立する行為です。

③MBI(Management Buy-In:新たな経営陣を送り込んで再建する経営手法)

MBIとは、企業を買収した投資家や投資ファンドが、買収先の企業に外部から経営者を送り込み、経営の立て直しを図ることにより企業価値の向上を図る行為です。

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