
24
ブランド提供価値の明文化「バリュープロポジション」
企業の提供価値を打ち出し、顧客の心を掴み取る。
企業の提供価値でありブランドを定義する「バリュープロポジション」を伝授します。
バリュープロポジションとは
プロポジションは英訳すると「提案」となりますが、ブランディングにおけるバリュープロポジションでは「ブランド定義」なり、その企業が提供する固有の価値、またはそのブランドが提供できる固有の特徴と消費者のインサイトが互いに共有できる固有の価値となります。企業は、ブランドプロポジションを言語化することで、自社の独自性を明確に定め、ブランドの価値や存在意義の浸透を図ります。
近しいブランディング用語には「ブランドプロポジション」があり、ブランドの提供価値、または他社ブランドに真似のできない独自の提供価値を指しています。どちらも同義語と捉えて問題のない表現だと言えます。
バリュープロポジションが果たす役割

ブランディングにおいて、バリュープロポジションは最も重要なブランドの原則であると言えます。ブランドとして「どうなりたいか」の定義であり、ブランドとして「何をするか」「何をしないか」の定義でもあります。このバリュープロポジションを定めることがブランドの独自性開発の第一歩となり、以降のブランディングにおいてすべての判断軸となっていきます。
ブランドの中核概念となるバリュープロポジションがボヤけているようでは、ブランドの個性は際立たず、存在感も希薄になります。逆にバリュープロポジションが明確であるほどブランドとしてのエッジが効いてくると言えます。
バリュープロポジションが果たす「インターナルブランディング」
ブランドとしてのあるべき姿を定めるバリュープロポジションが言語化されることで、すべての従業員にブランドとしてのあり方を明示することができます。これにより、業務の判断軸が定まり、すべての従業員が同じ方向を向くことができるようになります。バリュープロポジションは、教育・研修の根幹にも定められ、以降、企業文化や企業風土の源泉となっていきます。
バリュープロポジションが果たす「エクスターナルブランディング」
ブランドの根幹となるバリュープロポジションが言語化され、すべての商品・サービスがバリュープロポジションを実行することで、消費者はブランドを信用して消費を行うことができるようになります。また、ブランドロイヤリティが高まることで、消費者はその企業ブランドを信頼し、新商品や新サービスであっても安心して消費を行うことができるようになります。
優れたバリュープロポジションの条件
バリュープロポジションをはじめとするCI(コーポレート・アイデンティティ)は、企業独自性の根幹となるため、緻密な情報設計と大胆な表現の双方が求められます。また、曖昧な表現ではブランドらしさが際立たず、限定しすぎた表現では実務に即さないなど、以降のブランディングに支障が生じることから、バリュープロポジションの開発には、緻密な検証が不可欠です。ここでは、優れたバリュープロポジションの条件を以下の5点に集約して伝授します。

①シンプルで伝わりやすいこと
バリュープロポジションは、すべてのステークホルダーに向けた企業からの提案であり、事業活動の原点となるため、実践する従業員にとって理解しやすく、覚えやすく、そして伝わりやすいものでなければなりません。
②ブランドの姿勢が明確であること
漠然とした表現を避け、できる限り明確であることが大切です。多くの要素を取り入れると要点がボヤけ、ブランドとしてのエッジが立たなくなってくるため、要点を絞り込み、的確な表現で言語化しましょう。
③競合ブランドとの差別化が図れていること
ブランディングで最も重要なのは、他社との差別化です。バリュープロポジションは、以降のブランド開発においてブランドの原点となるため、自社の独自性が伝わるよう検証を重ねることが大切です。
④顧客への説得力があり魅力的であること
ブランドのコアターゲットとなる顧客に対する説得力があり、また魅力的に映るものでなければなりません。バリュープロポジション開発時は、顧客視点でブランド体験を想像し、ブランドへの魅力を感じて頂けるものにすることが大切です。
⑤従業員への求心力があること
バリュープロポジションは、ブランディングを実践する従業員にとっての判断軸となるため、自分たちが何をするべきか、または何をしてはいけないかを想像できるものでなければなりません。
バリュープロポジションの開発手順

では、バリュープロポジションはどのような手順で開発を進めるべきなのでしょうか。バリュープロポジションは、ブランド独自性の根幹となることから、論理的思考からくる緻密さと、想像力からくる大胆さの双方が必要になると言えます。
これを踏まえ、以下に紹介する基本的な9つのステップを考慮しながら、まずは多くの仮説を導き出すことが肝要です。
①オリエンテーション
バリュープロポジション開発の準備段階として、まずは企業・事業の全体像に関するオリエンテーションを行います。どのような組織でどのような事業を行い、どのような優位性があるのかなど、まずは企業を広く深く理解することが大切です。
②企業意思の確認
企業として「何をしたいか」、また「どのようなブランドになりたいか」を確認していきます。現状を正しく把握し、目標を明確に定めることで、その差をいかにして埋めていくのかを計画できるようになります。
③顧客ニーズの把握
現在顧客や将来ターゲットとする顧客のニーズを把握し、消費者インサイトを考察していきます。また、市場ニーズを企業の定める目標に照らし合わせ、将来あるべきブランド像を考察していきます。
④競合他社との違いを確認
業界における競合他社と何が違うのか、自社優位性はどこにあるのかなど、ブランドの源泉となる競合他社との差別化を確認します。重要なポイントは、「差」ではなく「違い」が明確であることです。
⑤ワークショップでの意見抽出
ブランディングプロジェクトに参画するメンバーに「自社のことを他者に短時間で紹介する際は、どのように伝えるか」の宿題をあらかじめ提示し、ワークショップ形式で発表を行っていきます。また、将来顧客と考えるペルソナ像について、そのペルソナ像に提供するブランド価値についてなど、メンバーの意見を交え一つひとつ考察していきます。
⑥ブランド価値のマッピング
自社のブランド価値を4象限マップにマッピングし、自社ブランドの全体像を見える化します。全体像を俯瞰してみることで、どの価値を抽出していくべきかの仮説案が立てやすくなります。

⑦キーパーソンとのディスカッション
ここまでに考察したバリュープロポジションをもとに、キーパーソンとのディスカッションを行います。自社の歴史や現在を深く知り、未来を洞察しているキーパーソンとのディスカッションは理想と現実の双方を兼ね備えていることも多く、貴重な意見となることから重要なパートであると言えます。
⑧バリュープロポジションの検証
ここまで考察した仮説案を、顧客目線、従業員目線の双方から検証していきます。検証では、仮説案として開発したバリュープロポジション案にイメージボードを加え、できるだけブランドイメージが伝わるよう構成したうえで意見聴衆を行います。なお、意見聴衆は、ターゲット顧客に対する定量・定性調査、従業員などのインナーに向けたアンケート調査、経営層とのディスカッションなど、多様な方法を実施していきます。
⑨バリュープロポジションの決定
バリューポジションの考察から多様な検証を経て、バリュープロポジションの最終案を決定していきます。ここまで多くの検証を重ねていますが、最終決定には企業トップの決断力が求められます。これからブランディングを推進するにあたり不可欠となるリーダーシップを持って、最終決定することが大切です。
ブランディングチーム
パドルデザインカンパニーには、プロジェクト全体を統括するプロデューサーやブランディングディレクターをはじめ、コピーライター、エディトリアルライター、アートディレクター、ブランドデザイナー、Webデザイナー、映像ディレクターなどが在籍し、プロジェクト毎に最適なチーム編成を行うことでブランドを最適解へと導いていきます。
記事制作/プロデューサー
ご相談や課題を受け、実施プランの策定やプロジェクトの大まかなスケジュールなどを策定します。また、プロジェクトのゴール設定やマーケティング環境分析、市場分析などを行い、市場で勝ち抜くブランド戦略提案などを行います。
Producer
CEO 豊田 善治
東京のブランディング会社

パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。
《関連するブランディングサービス》
企業ブランディング
採用ブランディング
周年事業ブランディング
インナーブランディング
ブランディングコンサル支援/相談
グラフィックデザイン
Webサイト制作
動画制作