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製品ライフサイクルとプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

PLS&PPM

製品ライフサイクルとプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

直感ではなく、
直観で投資する。

市場の成熟度と市場シェア率で可能性を計り、
経営資源の効果的な再分配を図る。
製品ライフサイクルとプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

製品や市場には、誕生から衰退までのプロセスがあるとされており、マーケティング用語で「製品ライフサイクル(事業ライフサイクル)」と呼ばれます。ライフサイクルのプロセスは一般に、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つに区分され、売上高や利益がゆるやかな放物線を描き推移していく様を表しています。複数の事業を展開する企業は、自社事業が現在どの段階にいるのかを見極め、各事業に対し経営資源の投資や、市場からの撤退時期を判断していく基準を設けていきます。
また、製品ライフサイクル(事業ライフサイクル)の成長期・成熟期において、企業が効果的に経営資源を再分配するための分析手法に「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」があります。プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントでは、縦軸を「市場成長率」、横軸を「市場シェア率」の2軸で構成したマトリクスを、「花形(star)」「問題児(problem child)」「金のなる木(cash cow)」「負け犬(dog)」の4つのエリアに区分します。そこに、自社の各事業や製品を明示することで営業戦略立案フェーズにおける戦略的意思決定に役立てていきます。

製品ライフサイクルとは

製品ライフサイクル(事業ライフサイクル)は、新製品の導入から製品が衰退するまでのプロセスを「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つに区分し、売上高、利益の推移を表しています。製品が必ずしも製品ライフサイクル(事業ライフサイクル)を経るとは限りませんが、多くのケースに当てはまると言えることから、市場ニーズや自社の売上推移を製品ライフサイクル(事業ライフサイクル)にあてはめ、自社事業の状況を客観的な視点で把握・分析することで売上・利益の最大化を図ります。

●導入期の特徴とマーケティング戦略 プロセスの初期段階となる「導入期」は、製品が初めて市場に導入されるタイミングとして位置付けられています。製品の知名度や認知度が低いことから需要は少なく、顧客となるターゲットはアーリーアダプターとなり、他の潜在的な消費者に影響を与えるオピニオンリーダーへの普及が成功のカギになると言えます。
認知向上段階となる導入期の製品売上は緩やかな上昇となる一方、生産設備や各種プロモーション活動に多くの資金を必要とするため、企業はマーケティング戦略やブランド戦略を念頭に先行投資を行う時期となります。

●成長期の特徴とマーケティング戦略 継続的なプロモーション活動や口コミなどを経て、時間の経過と共に製品の認知度が高まることで、市場ニーズが急激に伸びてくる時期を「成長期」と呼びます。顧客となるターゲットはアーリーアダプターまたはアーリーマジョリティとなり、他の潜在的な消費者に影響を与え市場が拡大していきます。
成長期には、後発企業の新規参入が増加し、市場競争が激化することで価格競争が生じ、消費者は手頃な価格で製品を手にすることができるようになります。導入期よりもさらに多くのプロモーション費を必要とする時期である一方、売上の急激な上昇や、それに伴う生産量の増大により製造コストの削減ができるなど、企業はより多くの利益を獲得できる時期でもあるため、企業は売上・利益に直結する販売戦略が不可欠となります。

●成熟期の特徴とマーケティング戦略 製品が市場に一通り浸透し、需要が一段落する時期を「成熟期」と呼びます。成熟期には、売上高・利益ともにピークに達し、市場の成長が鈍化してきます。また、参入企業による熾烈な価格競争が発生し利益率の低下などを招きますが、市場規模が最大化された状態であることから、安定した売上・利益を見込むことができます。
飽和した市場となる成熟期には、製品の機能面や価格面だけでなく、自社製品の差別化に向けたブランド・イメージ強化やブランド・ロイヤルティ向上に向けたコミュニケーション戦略が不可欠となります。

●衰退期の特徴とマーケティング戦略 時間の経過とともに市場ニーズの低下(または顧客ニーズの変化)が起こり、売上・利益ともに減少し始める時期を「衰退期」と呼びます。価格競争により利益率が低下した状態で販売数が減少することから、市場から続々と企業が撤退し、市場規模が縮小していきます。
一方で、競合他社が撤退した市場をチャンスと捉えることもできます。撤退せず市場を維持する場合には、製品戦略の見直しや製品コンセプトの変更などを行い、新たな市場開拓に乗り出すことで、市場シェアを独占できる可能性も秘めています。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)とは

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)とは、アメリカの戦略コンセルティング会社、ボストン・コンサルティングが1970年代に提唱した、経営資源の再分配の優先順位を策定するためのフレームワークで、縦軸を「市場成長率」、横軸を「市場シェア率」の2軸で構成したマトリクスを、「花形(star)」「問題児(problem child)」「金のなる木(cash cow)」「負け犬(dog)」の4つのエリアに区分します。そこに、自社の各事業や製品を明示することで、営業戦略立案フェーズにおける戦略的意思決定に役立てていきます。

●花形(市場シェア高×市場成長率高) 売上が急速に拡大し、資金流入が多い。しかし、競合他社も多数存在するため、多くのマーケティング費用を要し、大幅な資金流入には至らない。市場成長率が鈍化した際に金のなる木へとシフトできるよう、市場シェアを維持することが肝要となる。

<特徴>
・市場成長率が高く、魅力的な市場である。
・市場シェアの獲得に向け、積極的な投資が必要となる
・市場シェア率が高く、売上向上が見込める一方、資金流出も大きい。

●金のなる木(市場シェア高×市場成長率低) 市場占有率が高く資金流入が多くあり、市場成長率が鈍化しているためマーケティング費用の投下も行わないため資金流出が少ない。事業として最も利益を獲得できる状況にある。獲得した利益は、問題児や花形に投資することで、金のなる木へのシフトを目指す。

<特徴>
・市場成長率が低く、新規参入のメリットが小さい。
・市場での競争が穏やかであることから、積極的な投資を必要としない。
・市場シェア率が高いため、事業利益を生み出しやすい。

●問題児(市場シェア低×市場成長率高) 設備投資やマーケティング費用に多くの先行投資を行う必要がある一方、資金流入が少ない状況。市場成長率が高い間に市場シェアを獲得し、花形へのシフトを目指す。成長率が鈍化してしまうと花形や金のなる木にはなれず、負け犬となってしまう。

<特徴>
・市場成長率が高く、魅力的な市場である。
・市場競争が激しく、積極的な投資が必要となる。
・市場シェア率が低く、売上・利益の向上が容易ではない。

●負け犬(市場シェア低×市場成長率低) 挽回の余地がなく、早期に市場からの撤退を検討すべき事業に位置付けられる。

<特徴>
・市場が成熟しており、成長の可能性が低い。
・市場シェアが低く、利益を生み出しにくい。
・挽回できる可能性が低いため、事業整理を検討する段階にある。

経営資源の最適な再分配を考える

複数の事業を経営する企業では、限られた経営資源を各事業に適切に分配し、投資対効果の最大化を図ることが肝要です。製品ライフサイクル(事業ライフサイクル)は、市場の成熟度を俯瞰し、自社をプロットすることで投資のタイミングを見極めるための考え方であり、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)を活用して事業ポートフォリオを考える上で必要な知識のひとつとなります。
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)は、事業分野を成長率とシェア率の2軸で4つの区分に分類することで、自社事業が置かれている状況を容易に把握することができます。
一方、製品ライフサイクルとプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)にはそれぞれ限界があり、事業戦略としては単純化しすぎているという課題も指摘されていることから、それぞれの問題点も理解した上で活用していかなければなりません。

●製品ライフサイクル(PLS)の限界

製品ライフサイクルは、製品が市場に投入されてから衰退するまでのプロセスを、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つに区分することで市場成熟度を容易に理解することができますが、必ずしも区分された通りのプロセスを辿るとは限りません。導入直後から爆発的に普及する製品もあれば、将来有望な市場とみられていた市場でも、成熟する前に衰退してしまう場合もあります。このことからも分かる通り、必ずしも製品ライフサイクルを辿る訳ではなく、将来を予測することは大変難しい時代であることを理解しなければなりません。

●プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)の限界

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)は、着眼点がキャッシュに限定されたフレームワークである点に起因した限界が多くみられると言えます。企業では、たとえ別事業であっても、各事業が相関関係にある場合も多く、単純にひとつの事業を4つのいずれかに区分できないケースも多くあります。また、投資を抑えるべき「金のなる木」であっても、自動車産業のように、電気自動車や水素自動車などのイノベーションにより競争環境が激変し、市場成長率がさらに高まる可能性も秘めています。さらには、そこで働く従業員のモチベーションなどの感情面も一切考慮されていないことを理解しなければなりません。

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