存在感を社会に根付かせる「企業ブランディングCM」

企業ブランディングにおけるCMの効果を多角的に分析し、実際の成功事例を紹介しながら解説します。

Introduction

企業ブランディングにおけるCMの重要性

企業が市場で持続的に成長するためには、単に商品やサービスの良さを伝えるだけでは不十分で、企業の理念や価値観、ブランドとしての存在感を消費者に強く印象づける「企業ブランディング」が必要不可欠となってきます。その中で、テレビやWebでのCM(コマーシャルメッセージ)は、強力なブランディング手段として位置付けられています。
CMは視覚と聴覚を通じて短時間でブランドイメージを伝達できるため、認知度向上だけでなく、消費者の感情に訴えかけることでブランドへの共感形成にも寄与します。本記事では、企業ブランディングにおけるCMの効果を多角的に分析し、実際の成功事例を紹介しながら解説します。

1.認知度の拡大とブランド浸透

企業ブランディングにおいてまず必要なのは、多くの人に「知ってもらう」ことです。CMはテレビやWebを通じて、多様な視聴者層にリーチできるため、認知獲得にとても効果的な手段だと言えます。

◉実例:ソフトバンク「白戸家」シリーズ

ソフトバンクの「白戸家」シリーズCMは、ユーモアを交えたストーリーとキャッチーなキャラクターにより、幅広い層の認知を獲得しました。また、ブランドの顔として長年親しまれ、同社のサービス認知度を大幅に拡大しました。このように、CMは単なる広告以上に「ブランドの存在感を社会に根付かせる役割」を果たします。

2.ブランドイメージ形成と差別化

CMで起用するタレントのイメージやクリエイティブの質は、ブランドイメージに直結します。適切なタレント選びや映像表現により、企業の価値観や世界観を鮮明に伝えることができます。

◉実例:資生堂「資生堂ワタシプラス」

資生堂は、著名な女優やモデルを起用しながらも、自然体で透明感のある映像表現にこだわり、ナチュラルビューティーというブランドイメージを強化しています。また、ターゲット層に寄り添ったストーリー展開により、ブランド価値を高めています。このようにCMを通じて独自のブランドイメージを築くことで、競合他社との差別化を実現できます。

3.消費者の感情に訴えるブランド共感の創出

企業ブランディングCMは、製品の機能説明だけでなく、ブランドの理念や価値観をストーリー形式で伝えることで、消費者の感情に強く響きます。これがブランドロイヤルティの醸成につながります。

◉実例:ユニリーバ「ダヴ」キャンペーン

ダヴのCMは、女性の自己肯定感をテーマに据え、リアルな女性たちの声や姿を通して「真の美しさ」を訴求。単なる化粧品CMを超えたメッセージ性が世界中で共感を呼び、企業ブランディングに大きく貢献しました。感情に訴えかけるCMは、消費者との心理的なつながりを強化し、ブランド価値を持続的に高めます。

4.ブランディングCMの効果測定と継続的改善

企業ブランディングCMの効果を最大化するには、放映後の効果測定が不可欠です。視聴率、Web検索数、SNSでの話題性、購買行動への影響などを多角的に測定し、次の施策に反映させる施策が求められます。

◉実例:P&Gの「オールインワンCM戦略」

P&Gは複数ブランドを統合したキャンペーンを展開し、TV視聴率に加えSNS上のエンゲージメントデータを活用。リアルタイムでの効果測定を基にクリエイティブの微調整を行い、ブランド認知と売上向上を両立させています。このように、科学的な効果測定とPDCAサイクルが、CMによる企業ブランディングの成功を支えます。

5.企業ブランディングにおけるCMの最新トレンド

近年、企業ブランディングにおけるテレビCMやWeb動画広告の役割が大きく変化しています。従来の一方向的な情報発信ではなく、共感や社会的価値を重視したストーリーテリング型のCMが主流となり、視聴者との深いつながりを築く手段として進化を遂げています。また、SNSとの連動や短尺動画の活用など、デジタル時代に適応した新たな手法も次々に登場しています。ここでは、企業ブランディングの観点から注目される最新のCMトレンドを紹介し、今後の展望を探ります。

◉AI技術の活用とパーソナライズの進化

最新のCMでは、生成AIを活用したリアルタイムコンテンツ生成や視聴者の属性に応じたパーソナライズが進んでいます。2025年のスーパーボウルでは、AIを活用したCMが注目を集め、リアルタイムで視聴者の反応に応じて内容を変化させる試みも行われました。

◉社会的意義と多様性の強調

近年では、CMを通じて多様性や企業の社会的責任を強調する傾向が強まっています。NikeのCMでは、多様性や企業の社会的意義を前面に出し、ブランドの価値観を明確に伝えることで、消費者の共感を得ています。

◉ソニックブランディングとマルチセンサリー戦略

視覚だけでなく、聴覚や触覚など複数の感覚に訴えるブランディングが注目されています。企業は独自のサウンドロゴやブランドジングルを制作し、消費者の記憶に残る体験を提供しています。例えば、Netflixのアプリを起動した際に流れる特徴的なサウンドは、ブランドを認識させる効果的なサウンドロゴの一例です。

まとめ:CMを戦略的に活用した企業ブランディングを

企業ブランディングにおいてCMは、認知獲得、イメージ形成、共感創出の強力な手段です。成功するCMは単なる広告を超え、ブランドの「顔」として社会に深く根付きます。さらに、データドリブンな運用によって効果を最大化し、継続的なブランド価値の向上を実現します。 マーケティング担当者や経営層には、CMを戦略的に活用し、自社のブランドストーリーを明確かつ感情豊かに伝えることで企業価値向上を図る企業ブランディングが求められています。進化するメディア環境に対応しながら、CMを通じた企業ブランディングでの価値創造に取り組むことが大切です。

ブランディングチーム

パドルデザインカンパニーには、プロジェクト全体を統括するプロデューサーやブランディングディレクターをはじめ、コピーライター、エディトリアルライター、アートディレクター、ブランドデザイナー、Webデザイナー、映像ディレクターなどが在籍し、プロジェクト毎に最適なチーム編成を行うことでブランドを最適解へと導いていきます。

記事制作/コピーライター

企業の中核概念となるミッション/ビジョン/バリューの開発やタグライン、ブランドコンセプト、ブランドストーリーなどのMI(マインド・アイデンティティ)開発を担当。ブランドコミュニケーションにおいては、制作物の企画立案・コピーライティングのほか、取材・ライティングを担当します。

Senior Copywriter
Creative Director
Miyazaki

東京のブランディング会社

パドルデザインカンパニーは、1998年創業のブランディングカンパニー。東京都港区南青山に本社を構え、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県を中心に、北海道から沖縄まで日本全国に顧客を抱えています。取引業種・業界も幅広く、IT業界や製造業、商社、建築・設備業、金融・不動産、食品会社に至るまで、あらゆる業界のブランディングを手掛けています。